ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
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■ 記憶の交差 〜 教え子の落涙 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20060207
東横イン社長の謝罪会見「本当に体たらくな自分だったと思います」
あまり聞きなれない表現だが、その翌日は奇妙なことがつづいた。
午後の国会中継で、ライブドア幹部の“怪死疑惑”が審議されていた。
質問の途中で「秋篠宮妃殿下の懐妊」テロップが流れる。
その直後、秘書官の差しだすメモを見た首相が、えっと驚いている。
そっちのけにされた質問者が「首相、聞いてください」と云っている。
いまどきの政治家は、与野党ともに即断力が鈍っているようだ。
いかなる質問よりも、差しだされたメモのほうが緊急性は高いのだ。
たとえば「中国が台湾に発砲した」という可能性もあり得る。
のちに公開されたが「同時多発テロ」のメモを読んだ後のブッシュが、
落着きをなくした姿こそ、すべての政治家が学ぶべきなのだ。
そのメモは「秋篠宮の懐妊」とあり、思わず首相は笑ったのだそうだ。
さきの歌会始で、ご夫婦そろって「こふのとり」を詠まれたことから、
与太郎は“すわ壬申の乱か”と予測していたので、しばし午睡をとる。
その夕刻に、谷本先生より、つぎのような電話をいただいた。
◆
谷本「メールと冊子をもろたが、パソコンの調子が悪くて、どこかに消
えてしもた。それで電話でお礼をすることにしたんや」
── とてもお元気そうな声で、安心しました。
谷本「最近は迷惑メールが80%、そうかフォーム・メールだと安全か。
“はてな”は面白そうやな、君が主宰しているのかと思ってたよ」
── ぜひおすすめします。必ずや、センセもはまりますよ。
谷本「そうか。ところがなぁ、最近は目が悪うなって、白内障の手術を
するには、女房を預けるのに三ヶ月も前から予約せなあかんのや。その
スケジュールを合わせるのが、なかなかむずかしゅうてな。
── わたしにも覚えがありますが、年をとると重要なことほど先送り
する傾向があるんです。ここは奥様のためにも、まずは白内障の手術を
されるのが最優先ではないでしょうか。
谷本「そうやなぁ。しかし女房の介護は、なかなかコツが要るんやで。
介護ヘルパーは、わしの居るときしか出入りでけん契約になっとるんや。
いまではチューブを挿入するのも看護婦より上手にできるようになった。
(思いがけず、くわしい介護の手順を聞く。さすが化学者らしい、理に
かなった入念な手さばきを想像するうち、不意に感動がこみあげてきた。
云おうとする言葉が、なぜかまとまらなくなった)以下はメールで。
『先生の献身が、おなじ立場にある人々にとって、大きな励ましになる
ことを伝えたかったのです。
そのためにも、白内障の手術を優先すべきだと思ったのです』
先生は「ほなら、もういっぺんメール送ってくれんか」と云われた。
今朝ほど、東横イン社長の謝罪会見で聞いた“体たらく”を思いだす。
先生の話に、われながら「なんぼの者か。なんたる体たらく」と思う。
実は、このとき与太郎は、同時に複数の記憶がよみがえったのだ。
ひとつはサリン事件の河野義行夫妻であり、さらに“水俣のピエタ”
であり、そのもとは金谷先生のエピソード(別稿に詳述)などである。
電話のあとも、しばらく哭きやまらない。
妻が帰ってきて夕餉をととのえるまで、何も手につかない。
「谷本先生から電話があった。感動して泣けてしまった」と告白する。
(20060207-0210)
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20060114
《クレマチス 〜 歌のあとさき 〜》
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── てい‐たらく【体たらく・為体】「たらく」は、断定の助動詞
「たり」のク語法》ありさま。ようす。ざま。現在では、ののしったり
自嘲をこめたりして、好ましくない状態にいう。「初日から遅刻とはな
んという―だ」「覚明が―褐(かち)の直垂(ひたたれ)に黒革威(をどし)
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02月07日(火)
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