ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
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■ 母猫物語 〜 ミミの身辺 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19831011
ミミは、ちょうど向いあったアオナシ家から家出してきて、わが家に
住みついた。家出の原因は、産んだばかりの仔猫を捨てられたからだと
いう。捨てられるさまを、じっと見ていたそうだ。
数日は野宿して(あるいは熟慮して)もとの家が見える位置を選んで、
たいした手続きもなしに、ミミは新しい居住権を得た。
一二度出産しているらしいので、三十後家というところか。
実家(アオナシさん家のことである)を恨んでいて、まったく寄りつ
かないかというと、かならずしもそうではないらしい。
気が向けば戻ってみるが、一宿一飯は辞退するという。
三毛とは、三色の毛並がそろっていていうらしいが、つめたい瞳と、
優雅な身のこなしで、ナイス・ミディである。
発情期ごとに相手が代るらしく、毎回ちがった毛色の仔猫を出産する。
わが家でも、はじめ色とりどりに四匹産んだ。保健所に持っていくよ
う準備していると、実家の了解が要るでしょう、と妻がいう。わが家は
居候を置いているのであって、飼っているわけではないからだ。
しかし、数ヶ月にわたって(猫の寿命からすれば、数年に相当する)
寝食を共にしていれば、居候にしても永すぎるのではないか──よって、
できればアオナシ家で善処してもらいたい。
アオナシ家の意向は、保健所へ連れていけば、まちがいなく殺されて
しまうので、できれば人の通る路傍に捨ておけば、通りすがりの愛猫家
に、たとえ一匹でもひろわれる可能性があるという。
すると残りはどうなるか──野良猫として自立していくのではないか、
こういう人たちと議論してもきりがない。
そこで、アオナシ家で善処してもらうことにした。
アオナシ氏が、車で、遠すぎず近すぎない某所に仔猫たちを運ぶこと
になった──すると、その中でいちばん、はしこい茶色が、いちはやく
姿をくらませてしまった。
アオナシ氏が戻ってくると、当然のようにあらわれたという。
その機転と俊敏さを高く評価され、近くの愛猫家にめでたく所望され
たらしい。
母親のミミは、もうすっかり分っているとみえて、数日もしないうち
に平常にもどった。数ヶ月もたてば、つぎの発情期がめぐってくる。
こんどは、白いのばかり四匹産んだ。
ふたたびアオナシ家に相談すると、やはり前回のとおり運ぶという。
まもなくするうち、だんだん仔猫が大きくなって気がつくと、黒いの
が一匹増えている。
あとから産れたはずはないので、よそから紛れてきたらしい。
大小六匹、まるで何事もなかったように毎日じゃれあって、まことに
にぎやかである。
わたしは、猫の美しさは認めるが、感情移入したり、手に触れるのは
好まない。アオナシ家の夫婦が、あまり優柔不断なら、保健所へ連れて
いくつもりだが、ミミだけは残す。
たとえば不妊手術は人間なみに高いから、その出費はひかえたい。
アオナシさん夫婦の猫かわいがりにも疑問がある。
人は、もともと愛玩用に猫を飼育する資格を、神に与えられたのだろ
うか。ミミは悠然として起居し、わたしや妻や息子たちの出入りを利用
して、合計六匹がいっせいに出たり入ったりしている。
(19831011初稿)
わが家での最初の出産のとき、妻が腹をさすってやったところ、つぎ
の出産時まで覚えていたらしく、妻の手をとって催促したという。
どの猫も、このような高い知能を具えているのだろうか。
── わが家の飼猫は、二度目の出産後、誇らしげに家人を呼びにきま
した。ところが、あるときプイと家出してしまい、路上で会っても知ら
ん顔なのです。出産のときの人なつっこさは、いったい何だったのか?
http://q.hatena.ne.jp/1127311932#a409436
犬は自分の存在を知っているのでしょうか?
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10月11日(火)
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