ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
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■ キリギリス 〜 アリガ来たりて 〜
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19540817
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http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=19540817
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 夏休みになって、生徒会長あてに手紙を出す。「あの原稿は、都合に
よりボツになりました」というかわりに、わけのわからない弁明を書い
たらしい。折りかえし彼女から、誠実で真意にあふれる返信がとどいた
(Let'337 19540804)。
 二学期になると、久保教頭の所属する教会での噂話が、ひそかにささ
やかれはじめた。年度末には、教頭のポストは信楽先生に移った。
 
 中学三年の夏、恒例の由良キャンプには、一期一週間のところ、二期
三期つづけて参加することにした。申込書を届け出ると、岡田先生に、
「おんなじ行事の繰り返しやで、それでもええか?」と念を押された。
 しかし、おなじではなかった。二期のボート・レースで優勝したあと
潮風に喉をいため、三期に入ると、まったく声が出なくなった。
 もし二期だけで帰っていたら、沈黙の夏を無為にすごして、新学期を
迎えたにちがいない。そして、有賀誠一も訪れなかったであろう。
 以下、(四十二年後の)吉田肇・馬場久雄(両君同文)あて書簡の一部。
 
…… 郵送された冊子で、有賀博士の没後譚を読む。いまも博士ご存命
なら教わりたいこともあるが、中学以後その愚息・有賀誠一の悪友とし
て、上りこんで、ピアノやバイオリンを鳴らして隣室の研究の邪魔をし
た。当時の有賀誠一は、わが師わが友の筆頭である。夏のキャンプで、
潮風に喉をいため、初めて歌う気になった。数日後の彼の訪問で、楽譜
のシステムが理解できた。その日「有賀来たりて合唱す 19540817」と
記して以来、わが青春わが人生は大きく曲がったのである。立石義雄か
ら見舞状も届いた「君は、のどを枯らしていたが、元気ですか。♪我ら
は主の子供らよ」かくて西欧古典音楽への傾倒がはじまった。有賀誠一
の援護がなければ、バイオリンもチェロも縁なき衆生だったと痛感する。
── 幻の有賀勅語 19960302-0601 書簡(目録参照)
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=19451205
 
 なんとしてもボート・レースに優勝するぞ、とテント仲間にハッパを
かけて毎朝一時間早起きした結果、ブッちぎりの優勝を果したあとで、
声が出なくなった。これで変声期をくぐりぬけたらしい。
 小学校三年以来、唱歌の時間にも断固として歌わなかった音痴少年が、
先生や神学生の男性合唱に耳をかたむけ、ついに目ざめたのである。

 あとで判明したことに、その日は有賀誠一(十五才)の誕生日だった。
 勢いをかって、文化祭の合唱コンクールでは、指揮者として優勝した。
賞品はノート一冊、うれしくて、いまだに未使用のまま保存している。
 
…… 「暑い季節にはなにしていたの。」アリは借り手のセミに訊く。
「夜も昼も、みなさんのために、歌をうたっていましたの、すみません。」
「歌をうたって? そりゃけっこうな。それじゃこんどは踊りなさいよ。」
―― ラ・フォンテーヌ/今野 一雄・訳《寓話(上)1972 岩波文庫》P070
 
 男性合唱団・枯木コーラスの由来は、ハイキングで梅の木を見つけた
「うめき・コーラス」に発祥するという(有賀説)。枯木も山の賑わい
(誰でもいいから集める)の意、声が枯れても歌う、枯木にも花が咲く、
など諸説あり。アリガ来たりてキリギリス、アリガ来たりてセミが鳴く、
これらは、当時封切られた映画の題名を連想させる。
―― 横溝 正史・原作《悪魔が来りて笛を吹く 19540427 東映京都》
── 《虚々日々 20001224 阿波文庫》P050
 
 ゲーム・ボーイ 〜 永遠のボーイ・ソプラノ 〜
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“グンペイ”生る 〜 もうひとりの時間泥棒 〜
 
(20001224)
 
 ◆ プロローグ 〜 自転車で来た友 〜
 

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08月17日(火)
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