ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
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■ 君が代訴訟(1)
ども、秋に却下されました。二回目は、八七年の申立てで
認められました」
原告ら代理人「家庭裁判所で認められた時の手続で何か印象に残ること
がありましょうか」
朴実 「二回目は子供たち三人も呼ばれまして、担当、何て言う
んですか、裁判官じゃなしに、調査官ですか、調査官から、
別個に子供たちだけの事情聴取を受けまして、その中で
『私と名字』とかいう作文を書かされました」
原告ら代理人「裁判所がお子さんたちの意思を充分確認した上でという
ことですね」
朴実 「はい」
原告ら代理人「その作文の内容というのは御存じですか」
朴実 「本人たちや調査官から聞きましたら、三人とも日本の植
民地支配時の『創氏改名』という朝鮮民族から無理に名前
を取り上げて日本姓にさせたことの歴史に触れて、そうい
う日本人から無理に作られた名前、それが結局、私の場合
の以前使った新井という名字なんですけれども、そういう
無理に使わされた歴史性を持ってる、そういう屈辱的な名
前を使うのは嫌だと、そういうふうな表現をしたと言って
ます」
原告ら代理人「ところでね、今日、法廷に出てこられた時に、着てらっ
しゃるその服ですが、それは何というのですか」
朴実 「上がチョゴリで、下がパジです。普通、パジ・チョゴリ
と言います。」
原告ら代理人「今日、特にその衣裳を着てこられた思いというのは、何
でしょうか」
朴実 「今日四月二四日は、一九四八年、民族教育を取り戻すた
めに、在日朝鮮人が闘った阪神教育闘争を記念する日でも
ありますし、パジ・チョゴリにもいろいろありますけど、
私の今日着てる白いものは、農民の着る服です。私の父親
も母親も農村出身の農民ですから、そういう思いを込めて
着てきました」
原告ら代理人「陳述書の末尾に楽譜と歌詞が添付されてますね」
朴実 「はい」
原告ら代理人「これはあなたがお作りになった曲ですか」
朴実 「はい、そうです」
原告ら代理人「歌詞もそうですか」
朴実 「歌詞は在日朝鮮人の詩人が書きました」
原告ら代理人「陳述書の中身を見ますと、題名が『ウリエ・アボジ・オ
モニ・ヨ』ということですね」
朴実 「はい」
原告ら代理人「『私たちの父よ母よ』という意味ですか」
朴実 「はい」
原告ら代理人「これを作曲された思いというのは、どういうことでしょ
うか。歌詞の紹介も含めて御説明いただけますか」
朴実 「私は音楽家で、出身大学でも作曲の専攻でして、言葉で
表現するより、やはり自分は音楽で表現したいと思いまし
た。私はずっと大きくなるまで、親を含めて一世たちを否
定してきましたけれども、歴史を知り、いろんなことを学
ぶにつれ、自分のそれまでの生き方が非常に恥かしくなっ
て、やはり自分が今日あるのは一世たちのアボジ・オモニ
のおかげである。で、その思いを三世である私の子供だけ
じゃなしに、三世、四世の子孫に伝えていきたいと、そう
いう思いでこの曲を作りました」
原告ら代理人「今ね、母あるいは父を否定してきたとおっしゃったです
ね」
朴実 「はい」
原告ら代理人「それはどういうことですか」
朴実 「まず、日本の学校へずっと行ってたんですけれども、そ
ういう中で自然と日本は朝鮮より一段優れている民族であ
る、あるいは国であるというふうな意識と、現実に社会を
見ていても、朝鮮人は多くがいわゆるいい職につけず、社
会的に底辺に追いやられ、非常に貧しい暮しをしていたり、
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04月25日(木)
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