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与太郎文庫
by 与太郎
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■ プレイバック
た手で引かれたアクセントは私たちにとってなくてはならぬものとなり、
スラーの美しい曲線はますます肉感的なものに思えた。
私は、かれの手書きの原譜を見ながら演奏していると、いつもこの作
曲家の意図に、より忠実であるような印象を持つのであった。
── (安川加寿子・嘉乃海隆子・共訳 1968 音楽之友社)
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吉田 雅夫《フルート公開レッスン》
ふるい音楽では、作曲家が書かなかったけれども演奏家がやらなくて
はいけない5つの原則、テンポ・リズム・ダイナミック・スラーとスタッ
カート、そして装飾です。これらを決定することが演奏家の仕事です。
当時は作曲家がことこまやかに指示したとすれば、演奏家の権利を侵害
したことになるんです。
たとえば8分音符の連続、これを昔はどう演ったか、均等の長さで吹
くことではなく、不均等が原則だったのです。均等に吹かせるためには
作曲家は音符の上に点を書かなければならなかった。それがいつの間に
かスタッカートに転化してしまった。だからふるい譜面をみるときには、
そのどちらを要求したのかを明確に見きわめなくてはならないんです。
たとえば、スコットランド民謡“ゆうぞらはれて”という曲、元来は
スコッチ・スナップという特殊な地方的な色づけのあるリズムです。こ
ういうものが外国に正しく伝えられるか、日本ではそうはいかない。三
味線のリズムになってしまうんです。……ほら……(笑)
── (1969・6・8 /十字屋楽器店・主催)
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吉田雅夫氏は《フルート公開レッスン》のあと、すぐに新幹線に乗る
ので、白昼のビヤガーデンで簡単な会食がもたれた。主催者の田中昌雄
社長に招かれて隣に坐った与太郎を、吉田氏は何か勘違いされたらしく、
レッスンの続き(バロック音楽の即興性)を語りつぐ。タクシーの窓か
ら首を出し、走り去るまで、その講義は終らなかったのである(別稿)。
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03月05日(木)
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