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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 一聴一席A楽苑二重奏 大谷 光暢・智子御夫妻をたずねて
がある種の芸術的燃焼につながっていたのかもしれません 映画にして
もごく初期のころは フィルムを現像するまでちゃんと写ったかどうか
判らない状態で撮っていたそうですから(笑)
── お裏さまは ご幼少の頃から和歌をたしなまれておられるのです
が 現在ではどのような機会に 詠まれますか
裏方 御所の方から 御勅題の他に一年間 毎月の御題が出ますので
それに出させていただいております
── シューベルトは チラシにまで楽想がうかんだといいますが お
歌の発想もそのような流れにのることがございますか
裏方 御題のあるものですと その気持ちが湧くまでに時間がかかるこ
ともございますね
── 《大谷楽苑》のレパートリーに お裏さまの作詞になるものが
たくさんあるようですが 和歌そのままに作曲されるわけですか
裏方 それもございます
── 和歌の場合ですと ことばとしての完成度が高いわけですが 作
曲の段階でどのような注意が必要でしょうか あるいは作曲しやすいも
のでしょうか
裏方 ことばの数が限られておりますので 言外のふくみや ことばで
表現できないニュアンスもございますから 音楽によってたすけられる
こともあるように思います ふつうの詩でも あまりスキのない詞は
かえって音楽の入りこむ余地がない といわれる作曲家のかたもいらっ
しゃいますね
── 作詞者として 曲想がぴたりと合った場合はたいへん満足される
と思いますが そうでない場合もおありですか
裏方 打ち合わせの折に お互いが歩みよったり勉強を重ねることはご
ざいますね ですから あることばに どうしても曲がついていけない
こともありますし その時は ことばを代えてみる という風にいたし
ます
── 予想以上の出来ばえ になることもあるわけですね
裏方 《歓喜のカンタータ》は木下保先生につけていただいたのですけ
れども たいへん良い曲になったと思います
法主 あれは何回も演ったね
── 《賛仰歌》は 現在30曲ほどの いずれも書きおろしによるもの
ですが《大谷楽苑》の主なレパートリーであるわけですね
法主 《仏教聖歌》というものは 従来からあるわけですが どうも現
代的な 明るさや力づよさの点でいくぶん物足りない そこで新しい歌
を作っていこうということで《賛仰歌》と名づけたのです したがって
童謡風・民謡風・歌謡風など いろいろあるわけです
── キリスト教の《賛美歌》もそういった 多岐にわたる名曲佳曲を
とり入れているわけですが《賛仰歌》はすべて新作・書きおろしによる
ものですね その点にたいへんなご苦労があるでしょうね
法主 賛仰歌ではありませんが 昨年の定期演奏会に《私のねがい》と
いう高田三郎さんの作曲されたものを歌いました これは狂人の歌でし
て 最初練習にはいったころにはこんな曲これでいいのかな と思った
のです
裏方 いくら練習しても曲想がつかめない イヤな曲でございましたね
それに狂人の歌ですから こちらまで気がヘンになってくるのです(笑)
ところが演奏会のころには とってもすばらしい曲だったということが
わかりました
── かなり前衛的な手法で書かれていたのでしょうか
裏方 ずいぶんヘンな曲に はじめは聴えたのですよ でも最後には
ほんとにその音が感動的にひびいたのを忘れられませんね
法主 初演の難しさは そのあたりにあるわけで 中途半端な練習で
演奏会へ出してはいけないと つくづく考えました 松下真一さんに頼
んだときも あの人は電子音楽とかで やっぱり変な音になるかと心配
でしたが 実に自然な良い曲になりました 《音楽法要》という曲です
が 松下さんの傑作のひとつではないでしょうか
── 《賛仰歌》は仲野良一詞・信時潔曲による第1番以来 それぞれ
第一流の作家がこれに当たっていらっしゃいますが 今後は有為の新人
にもチャンスを与えられることになると思います ぜひそうした有意義
な事業を推進されるためにも 御夫妻ともにいつまでもお若く 御壮健
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04月22日(火)
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