ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
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■ Do! series
刷=文字への傾倒が生みだした成果とも思われます。
 
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 記号としての文字
 
 次頁に掲げた《現代邦字三筆》では、写植のメカニズムによって登場
した三人のタイポグラファーの経歴を、年表にしてあります。
 興味あることは、写植の最盛期にスターとなった中村氏が、中学卒業
後に看板とテレビの世界から文字に取りくんだことです。
 もうひとりの桑山氏は、当時はなやかな道が開けたグラフィック・デ
ザイナーの立場で日本字への提案を出発点にしています。
 ナールやゴナ、タイポスといった書体は、すでに書籍ばなれした発想
によるものです。
 ナール書体は、すべての文字を等間隔に置くためのもので、もともと
は手描きしやすいように工夫したのが動機です。タイポスでは、従来の
書体が、一種のアカデミニズムに支配されていることへの疑問を表明し
ています。広告デザインのための文字を提案しているのです。
 石井書体は、たしかに手描きの現場でも、広告表現においても、いま
なお主役ですが、アイ・キャッチャー(目を引く記号)としての需要を
満たすには、あまりにポピュラーな標準文字となってしまったのです。
 広告デザインにおける文字は、読むための文字である以上に、視覚的
な要素が必要です。視覚に訴えるためには、ある種の意外性や、流行性
を帯びていなければなりません。
 一方では、大量生産できるようなルールのもとに描かれ、限られた対
象と用途に向かいます。他方では、かつてのモールス信号のように、特
殊な媒体を通じるための、記号化された文字表現が、たとえばコンピュ
ーター文字のような形で再開発されつつあります。
 つまり、印刷媒体にとらわれない文字が、今後ますます登場し、印刷
用の文字にも影響を与えることになるでしょう。
 《Do ! Series》も、こうした展望と自負のもとに開発された新書体
の、ささやかな例のひとつなのです。            (亜)
 
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 邦字三筆の年譜(資料T)
 

        石井茂吉←東京に生る 明治20年                 1887
                     33                  1900
        森沢信夫→大阪に生る 明治34年                  01
                     35                   02
                     36                   03
                     37                   04
                     38                   05
                     39                   06
                   明治40年                  07
                     41                   08
                     42                   09
                     43                  1910
                     44                   11
 東京帝大機械工学科卒/神戸製鋼入社 大正元年                  12
                      2                   13
                      3                   14
                      4                   15
                      5                   16

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09月15日(月)
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