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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 一聴一席A楽苑二重奏           大谷 光暢・智子御夫妻をたずねて
── このときは衣装も着けられてみなさんお芝居をなさったのですね
法主 旅行の前に御所で上演させていただいたのですが ちょうど舞楽
の舞台になっておりましたので歩き方から練習いたしました
裏方 アメリカでは時間の関係でどんちょうを使わないステージが多か
ったものですから たいへん効果的でございましたね
法主 ちょっとした小道具を動かすのも幕がないと それらしく やら
なければならない ちょうど黒子のやることを 登場人物にやらせると
いった工夫も必要でしてね
── 当門さま 男の夢は一に連合軍司令官・二に野球監督・三にオー
ケストラの指揮者(笑)とか申しますが 自ら指揮台に立たれることは
お考えになりませんでしたか
法主 もう少し若ければ(笑)その気になっていたかもしれませんが
(笑)はじめたのが遅かったからね
── コーラスで 一緒にお歌いになるとか そういったことは なさ
いませんか
法主 やりませんね 学生時代にバイオリンをほんの少しいじったこと
があるくらいで 当時は各大学でマンドリン・オーケストラがさかんで
その団員だった友人に手ほどきを受けたことはあります
裏方 コーラスの練習や演奏会では 録音をとったり 映画を撮るとか
なかなかはれがましうございますのよ(笑)
── もっぱら“うらかた”に徹しておられるわけですね(笑)
裏方 練習の録音はたいへん参考になりますね 気のつかない点がよく
わかります いつも聴き手で 時にきびしい批評もされます(笑)
── 当門さまは かねてSPレコード以来の全国でも有数の収集家でも
いらっしゃるわけですが SP・LP・ステレオ・テープ・カセットと
いった順に集めてこられたのでしょうか
法主 カセットはやっておりませんが 音質の点でもう少し先のもので
しょうね
── 学生時代からSPを収集されたのですか
法主 ええ 収集というより捨てることをしなかっただけですよ(笑)
── 戦後LPレコードが登場したときに もはやSPの時代は終った
といってそれまでのSPレコードを処分されたマニヤの方も いらした
そうですが
法主 レコードを消耗品として考える人たちのことでしょうね 私の場
合はいわば十字屋さんの歴史(笑)でもあるわけで そういう歴史的な
記録としてみれば捨てることは考えられない
── 指揮者については どんなタイプを支持されますか たとえば
カラヤンなどは
法主 カラヤンはあまり好きではなかったのでしてね あの身振りがい
けないなどといわれる ところが3年前でしたが ベルリンで本場のベ
ルリン・フィルでのブラームスの第一交響曲を聴いてすっかり感動して
しまいました だから向うで演ってるのと 日本へ来て演るのと まし
てレコードだけで判断されるのとでは ずいぶん異なったおもむきがあ
るでしょうね ワインガルトナーとかメンゲルベルクなどはいいと思い
ますね
── 現在お聴きになるのは 主にそういった指揮者 いわば往年の
巨匠が多いですか
法主 そういうわけでもなく 最近のものも聴くのですが
── レコード批評のたぐいは お読みになりますか
法主 読みませんね 元来批評というのは 個人的な意見のようなもの
が多いので いつもそれに耳を傾ける必要はないと思います だいたい
そういった客観性のないところが音楽の良いところでしょうね
── 録音技術も進んでおりますが 最近の傾向についてお考えになる
ことは
法主 いくぶん電気的に強調されてきたようですね 雨降りみたいに
シャーシャーいう 雑音やその他の難点はあっても 音のバランスやま
とまりでは なんとなくSPのころが私には懐かしまれます
── 演奏の傾向についてはいかがでしょう
法主 録音技術が進んだ結果 テープの良い処をつなぎ合わせたりする
のでミスはなくなったけれども なにかこう張りつめた感じがなくなっ
たのかもしれませんね 不完全なところがあってもそれはそれで良いの
ではありませんか
── なるほど 昔は録音といえば一発勝負で そうした緊張の度合い

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04月22日(火)
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