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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 親告罪 〜 crime of complaining 〜
著作権者から何のクレームも来ない場合、「著作権者が黙認している」
と考えている方もいますが、これも正しいとはいえません。
何の行動も起こさないことと、黙認(=暗黙のうちに認める)は同じ
意味ではありません。
後述のように著作権者の中には事後的に追認している方もいるとは思
いますが、しかしそうではなく侵害行為を認めてはいないが刑事裁判を
行って刑罰(罰金刑、懲役刑)を与えることまでは求めていない、とい
うだけの場合もあります。
また、親告罪というのが関係するのは、あくまで刑事罰を科す過程に
おいてのみです。
上図下段の民事的救済(損害賠償請求、差止請求など)には関係あり
ません。
親告罪というのは民事的救済には関係ありませんが、その考え方は似
ています。
つまり、違法状態であるときに著作権者から損害賠償などの請求を受
けていないからといって、それは合法である、黙認されていると断定で
きるわけではありません。
なぜ著作権侵害の多くは親告罪なのか?
TPP11発効に伴う著作権法改正においても多くの著作権侵害が親告罪
のままとなったのか。
そしてそもそもなぜ親告罪にしているのか。
その理由は、著作権侵害という行為は、著作権者の意思によって事後
的に認められたり許可されたりする可能性があるためです。
これは、明確に許諾を与える場合はもちろん、黙示で許諾を与える黙
認という場合もあります。
また、著作権法の起草者によれば、その侵害行為に対して刑事罰を与
えるかどうかは著作権者の判断に委ねることが適当であり、権利者が不
問にすることを希望しているときまで国家が乗り出す必要がないと考え
られるためとされています。
許諾を受けるのが原則
このように、著作権者が何も言ってこないからといって、その行為が
違法ではないわけではなく、著作権者が黙認しているともいえないこと
は十分留意する必要があります。
著作権法で著作者(著作権者)だけが利用できるとされている利用行
為を第三者が行う場合は、権利制限規定に該当する場合を除き、著作権
者から許諾を得なければならないというのは原則ですので、著作権者の
権利を侵害しないよう、適切に利用したいですね。
https://copyright-topics.jp/topics/offense-subject-to-complaint/
京アニ公判 1129
……「弁護士さんからアレが…」青葉被告に回答拒ませた一言。
20231129 07:32 産経新聞
令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問
われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第18回公判が29日午前
10時半から京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれ、遺族らによる調書
の読み上げが再開する。27日の前回公判から量刑に関する審理が始ま
り、遺族が直接質問する機会もあったが被告は「後に答える」と繰り返
し、明確な回答を避ける場面が目立った。遺族らの思いが込められた問
いかけへのあっけない姿勢に、法廷は虚無感に包まれた。
【表でみる】青葉 真司被告の孤独な半生
■「目には目を」を疑問視
前回公判は検察、弁護側双方の3回目の冒頭陳述から始まった。事件
の凄惨(せいさん)さや残虐性を訴えた検察側に対し、弁護側の主張で
注目を集めたのが死刑制度そのものへの疑問だった。
弁護側の冒頭陳述は、異例ともいえる発言から始まった。「死刑を求
刑されると思います」。そしてこう続けた。「人を殺すことは悪いこと
なのに、なぜ死刑が正当化されるのか」。死刑を残虐な刑罰とする過去
の最高裁判例を示しながら、裁判員らに対して「本当に『目には目を』
なのか考えて審理してほしい」と求めた。
■法廷の空気一変
「あまりに浅はかだった。後悔が山ほど残る」「他に方法がなかったの
かと思う」。その後の被告人質問で、被告がこうした後悔の言葉を述べ
たことはすでに報じられている。「聞かれたことに答えるのが自分の責
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11月29日(水)
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