ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
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■ 故旧忘れ得べき 〜 The late old should be forgotten 〜
方程式が成立するとは思えませんが、いまでは出身地や居住地や世代や
人種を問わず、誤解のない(AI翻訳のような)表現に向っています。
 
 つまり、AI翻訳して、意味の通じない表現は、まもなく絶滅します。
 かつて「指を動かせば、脳神経が発達する」などと主張した人たちが、
いまやどこを探しても“ソロバン”が消えてしまったように。
 
 京都弁で「お口が、お上手ですこと」と言われる場合は、お世辞だと
分っていても「悪い気はしない」という意味です。逆に「お口が悪い」
と言われる場合は、そこに居ない誰かが不愉快に受取るはずです。
 
 さらに「お人が悪い」は、遠慮がなくて、すこし言い過ぎの場合です。
 または「弁が立つ」は共通語では尊敬の表現ですが、京の人にとって、
やや迷惑で「そないハッキリ言わんでも」とも聞こえます。
 
 もうひとつの観点は、つねに京都人が皮肉に受け止めるわけではなく、
古い世代に比べると、テレビの普及で、共通語との違いは薄れています。
 有名な「ぶぶづけお上がりやすか」の嫌味が、もはや絶滅したように。
 
 わたしは京都そだちで、東京遊学を経て、山陽路に居住していますが、
なるべく標準語で、いわば書き言葉で話しています。
 約十年前に、カナダ在住の旧友と、電話で長話をしたことがあります。
 
 ともに高校オーケストラの最上級生として「後輩にチャンスを与える
ことが我々の使命だったのだ」と語ったところ、すっかり彼も同感して
「えぇこと言うなぁ」とホメてくれました。
 
 こういう武張った言い回しは、もともと古い京都人に疎まれ「なにを
エラそうに」と非難陰口されたのですが、おくればせながら、全国区に
なりつつあるようです(もちろん旧い京都弁にも愛着はありますが)。
 
── 高見 順⦅故旧忘れ得べき 19510101 角川文庫⦆第148
《1935 日暦⦆連載《1936 人民社 人民文庫》初版
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B000JBF9R4
 
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05月12日(水)
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