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与太郎文庫
by 与太郎
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■ カルメンの記憶
遺族が来て死者を葬ろうとしたが、死体の損傷が甚だしくて見分けがつ
かない。しかしシモーニデースは、各人が横臥していた場所を記憶して
いたので、一人一人指し示すことができた。そしてこの事件を通じて、
場所の順序が記憶を助けるという原理を発見したというのである(『弁
論家について』二・三五二以下)。(略)
 
 大カトーの記憶訓練法に関してイアンブリコスの記事を参考に紹介し
たところ、前日の出来事を余さず思い出すのに再び二四時間を費やすな
ら、起きる間がないのではないか、という学生があった。まことに尤も
な疑問であるが、返事に窮するより前に、それならばこれはどうだ、と
いう場面が記憶のどこかから湧き出してきた。ローレンス・スターン
『紳士トリストラム・シャンディの生涯と意見』の一節である。── 
「私は十二ヵ月前の今ころ、つまりこの著作にとりかかった時にくらべ
まして、ちょうどまる一ヵ年、年をとっております。そして、今、御覧
の通り第四巻のほぼまん中近くまでさしかかっているわけですが──内
容から申せばまだ誕生第一日目を越えておりません──ということはと
りもなおさず、最初に私がこの仕事にとりかかった時に比べて、今日の
時点において、これから書かねばならぬ伝記が三百六十四日分ふえてい
るということです……」(朱牟田夏雄訳)
── 《図書 199905‥ 岩波書店》P34-36
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 驚異的な記憶力の秘密はBC5世紀のギリシャの放浪詩人にあった
 20021216【パリ15日】
 妻や夫の誕生日さえも忘れる人が多いのに、一部の人はどうして驚異
的な記憶力を持つのかを解明する手がかりは紀元前5世紀のギリシャの
放浪詩人が編み出した記憶手法にある、との研究論文を英国の学者が1
5日発行の月刊ネーチャー・ニューロサイエンス誌に発表した。ユニバ
ーシティー・カレッジ・ロンドンの神経学者エレノア・マグワイア氏は
ロンドンで毎年開かれる世界記憶選手権大会の上位入賞者8人と抜群の
記憶術を持つことが科学的に証明された他の2人を、同年代で平均的な
記憶力の10人と比較する実験を行った。
 2つのグループを、記憶と無関係の知能テストとファンクショナル磁
気共鳴影像法(fMRI)で調べたところ、記憶の大家たちの中央内側
頭頂皮質、レトロスプレニアル皮質、および右後方海馬状隆起の3つの
部分の働きが特に活発だった。しかし彼らの記憶力の秘密は知能の高さ
や教育水準あるいは脳の構造の違いによるものではなかった。詳しく聞
いてみると、記憶の達人の全員がギリシャの放浪詩人シモニデスがBC
5世紀に発案したとされる記憶法と同じ方法を使っていることが分かっ
た。シモニデスは自分が歩いた道のすべての風景と地形を全部覚えてい
たといわれる。この方法は通称「メンタル・ウォーク」(精神的歩行)、
正式には「メソッド・オブ・ローサイ」(場所方式)と呼ばれ、物や数
字などを人、動物、物体など別のイメージと結び付けて記憶するもので、
特別な知力や脳構造を必要としない。
 マグワイア氏は、ローサイ方式は多くの人にとり非常に有用で、マス
ターできないほど難しいものでもないと述べている。〔AFP=時事〕
 
 脳細胞が急速に破壊されてゆくアルツハイマー病は、物忘れとは本質
的に別物。記憶だけでなく人格も損なわれてゆき、性格は粗暴になり、
味覚や嗅覚も狂いはじめます。
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12月15日(日)
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