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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 知られざる写真家 〜 マリオ・ジャコメッリの生と死 〜
静かに往還している。ジャコメッリの芸術はいつの間にか実時間を脱し、
そうすることで〈とことわの時間〉を獲得したのである。すぐれてカラ
フルなモノクロームを表現しえたことで、万象の色彩をつとにこえたの
である。それは、最新のデジタル技術を総動員してもよくなしえない、
魂の芸術である。
 
 ジャコメッリは心を乱す     多木 浩二/美術・写真評論家
 
 2000年に死んだこの写真家は、おそらく写真家のなかではもっとも複
雑な深さのなかでイメージを作っていた。ある文化を身につけ、それに
よって非常にゆたかな表現の可能性をえているが、そのさまざまな歴史
が縺(もつ)れながら、ジャコメッリのイメージに流れ込んでいる。それ
はわれわれの存在の深層を貫いて心を乱すのである。
 
 マリオ・ジャコメッリへのオマージュ   細江 英公/写真家
 
 マリオ・ジャコメッリは、「いまを永遠に」「永遠をいまに」という
写真家の願望を具現化した20世紀最高の写真家の一人だ。そして、いま、
時空を超越した写真がここにある。
 
 妥協を許さぬ迫力         ハービー・山口/写真家 
 
 僕がジャコメッリの写真を初めて見たのは、1970年代、当時暮らして
いたロンドンの書店であったと記憶している。表紙になっていた一枚は、
黒い衣装を纏った司祭達が輪になって踊っている楽しげな写真だった。
俯瞰で撮られていて、大地は雪で覆われ純白だった。世間の煩悩とは無
関係な人達の人間らしい振る舞い、その不思議な違和感と美しいモノク
ロのコントラストがずっと僕の頭から消えなかった。後に彼のことを辿
っていくと、死を待つ老人が暮らすホスピスを撮った最も重要なシリー
ズがあることを知った。フラッシュの光を無造作ともいえる手法で老人
達に当てている。このことで老人達の偽らざる死までの限られた時間を
残酷な程明確に写しとめている。さらにその後、僕は、畑に描かれた幾
何学模様を空撮で撮ったシリーズを知るに至った。
 この地平の模様は年齢に逆らえない深い皺を意味しているのだ。なん
という強さで人間の、または自分自身の内面をえぐる作品を写し出した
作家だろうか。世間の一切の商業主義を排したところでしか写し得ぬ、
彼独特の深淵の世界が、見る者に妥協を許さぬ迫力で迫ってくる。彼は
日本ではそれ程知られた存在ではないが、世界で最も真摯に「生と死」
を切り取った写真家の一人ではないだろうか。
 
 高潔な美しさ           福山 雅治/アーティスト
 
 絶望や失望さえも美しく切り取ってしまう。
『死』とは恐れだけではなく
 高潔な美しさも併せ持つのだと教えられた気がする。
 
 展覧会概要
 
■ 東京都写真美術館
会 期 2008年3月15日(土)〜5月6日(火)
会 場 map 東京都写真美術館 2階展示室
開館時間 10:00〜18:00(木・金は20:00まで、入館は閉館の30分前)
休館日:毎週月曜日(但し5月5日(月・祝)、6日(火)は開館)
観覧料 一般 1,000(800)円 / 学生 800(640)円 /
中高生・65歳以上 600(480)円
 
※( )は20名以上の団体および東京都写真美術館友の会会員
※小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料
※第3水曜日は65歳以上無料
主 催 朝日新聞社 カンバセーション NADiff
共 催 東京都写真美術館
後 援 イタリア文化会館
会場お問い合せ 東京都写真美術館
TEL : 03-3280-0099
http://www.syabi.com/
総合お問い合わせ カンバセーション
TEL : 03-5280-9996(月〜金 10:00〜19:00)
http://www.conversation.co.jp/
 
※本資料で使用している写真は全て報道用に使用可能です。
 必要とされるときはカンバセーションへご連絡ください。
 

11月25日(土)
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