ID:85567
Kenの日記
by Ken
[99114hit]
■「IS」の攻勢
イラク西部の戦略的要衝「ラマディ」がISに占領されたことに関して、アメリカの国防長官カーター氏はボロクソにイラク軍をこき下ろしました。カーター氏曰く「兵力で勝っていたイラク政府軍にはISと戦おうという意欲が無かった」。更にイラク政府軍がISの侵攻に抗しきれずに退却した際に大量の武器・弾薬を放棄し、それがISの手に渡ってしまったことも頭に来ているようでした。
この批難に対してイラクのハイダル・アル首相は「間もなくイラク軍のラマディ奪還作戦が開始され数日でラマディを取り返す」という勇ましい声明を発表しました。しかしこれはイラク政府トップの根拠が心もとない強がりのように思えます。イラク政府軍の兵士にとっては、世界中から「不満分子・命知らず」を集めた「IS」は、数では政府軍に対して劣っていても、命をかけて闘おうという戦意を奪ってしまう恐怖心を煽るようです。
ISがインターネットで広めている政府軍兵士が捕虜として捕まった時の残忍な処刑シーンや、占領地域を治める時の恐怖政治は、イラク政府に急遽「金で」雇われた兵士達にとっては非常に恐ろしい光景だろうと思います。ましてや自分達は安全な所からの空爆と、武器・弾薬の供与・兵士の訓練だけやって、命をかける本物の陸上侵攻作戦をイラク軍に押し付けるアメリカには反発があり、そうしたアメリカのIS政策に反論できないイラン政権への不満もあるでしょう。
最前線の兵士にしてみれば「IS」の攻勢に対しては武器を置いて退却し、自分達の「弱さ」を示すことこそアメリカ等の連合軍の陸軍投入への近道なのです。アメリカ国内世論においてもオバマ大統領の弱腰の「IS対策」への批判は強くなるばかりです。オバマ大統領はまだ我慢していますが、自分達のプライドを傷つけられた時のアメリカ国民は非常に熱くなり、後先のことはあまり考えずに武力攻撃に出ることは過去良くあったことです。長年アメリカの戦略の犠牲になってきた中東の人々は、アメリカ人の熱くなる「正義感」への訴え方を体得しているように思えます。
05月25日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る