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Kenの日記
by Ken
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■スリランカの(無駄な)投資
スリランカでは1月の大統領において勝利が確実視されていた現職大統領が敗れて新しい政権が誕生しました。前大統領は「長年のスリランカ最大の懸案であった民族紛争」に勝利したのですが、その政権運営は傲慢で、重要な閣僚ポストには身内を配して、自分の選挙区に多額の国の予算を注ぎ込んでインフラ整備を行いました。首都コロンボから遠く離れた南部ハンバントタの大統領の出身地に構築された各種インフラがや今スリランカ政府のお荷物となっているようです。
「MRIA」(R:Rajapakusa)と前大統領の名前を冠して整備されたハンバントタの国際空港建設には210百万ドルが投下されました。直近の飛行状況はというとUAEの「安航空会社」が一日一往復ドバイと結んでいるだけです。ナショナルキャリアのスリラン航空が大統領選挙の日まで「MRIA」に就航していたそうですが、大統領交代が決定した途端にその路線を取りやめたのだそうです。空港設備・免税店を含めて近代的な空港を作ったのですが一日2便が出てしまうと全くの閑古鳥が鳴いている状態のようです。
また、中国資金361百万ドルを導入して建設された「ハンバントタ国際港」があります。ここは現在インドの自動車運搬船が立ち寄るだけと言う状況だそうです。この港を活性化させるため前政権は「高速道路」を通し、52百万ドルかけて「立体交差」を建設し、15.5百万ドルかけて「国際会議場」を建設しました。国際会議場では2013年に英連邦会議が開催されてから全く利用されていないとのことです。
更に大統領出身地ではにですが巨大プロジェクトが進んでいました。首都コロンボの観光スポットのゴールフェイスの沖合に大規模な埋め立て地を造成して、新たな都市を作ろうという「ポートシティプロジェクト」が中国のサポート得て進められようとしていました。この計画は新大統領によって見直されることとなっています。
大切な国家予算がこのような緊急性のない開発計画に投下されてきたことは非常に残念なことです。スリランカ内戦は最終段階においては政府軍の徹底的な破壊攻撃に晒されて、北部・東部のインフラ設備・住民の家屋は破壊されて多くの一般庶民が難民生活を送っている状況なのです。逆に言うとこういう状況だからこそ政権交代が実現したのだと思います。
大統領が財務大臣を兼務していたので実務的に国家予算を管理していたのは実務派財務次官の「P.B.ジャヤスンデラ氏」でした。強大な権力を握った大統領の元では「Yes」としか言えなかったのでしょうが、次官職最長不倒記録を保持していたジャヤスンデラ氏は大統領選挙開票前夜にシンガポールに逃れたという情報もありました。ジャヤスンデラ氏が現在どのような状況にあるか知りませんが、ゼン政権下では多分非常に不本意であっただろうと想像されます。
02月24日(火)
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