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Kenの日記
by Ken
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■チェロの演奏会
六本木にある「シンフォニーサロン」で行われた「チェロとピアノ」の演奏会を聴いてきました。生憎の雨でしたが、演奏が非常に充実していたので気持ちの良い感動を得ることが出来ました。演奏は日本の大学で教えているチェリストのドミトリー・フェイギンさんと奥様でピアにストの新見・フェイギン・浩子さんです。場所は満席でも40人程の小さなホールでしたのでフェイギンさんの右手が良く見える席を確保しました。

2月18日 ドミトリーフェイギン (チェロ)、新見・フェイギン・浩子(ピアノ)演奏会

「プログラム前半」
チェロとピアノのソナタ4番(ベートーヴェン)
モーツァルト「魔笛」から「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲(ベートーヴェン)
アダージョとアレグロ(シューマン)

「プログラム後半」
チェロとピアノのソナタ1番(ミフスコスキー)
オペラ「金鶏」より(リムスキー・コルサコフ)
ワルツ「レントより遅く」(ドビュッシー)
「ロメオとジュリエット」からバルコニーシーン(プロコフィエフ)
「道化師の朝の歌」ラベル

「アンコール」
ボカリーズ(ラフマニノフ)
詩人の恋(シューマン)
白鳥(サンサーンス)
紡ぎ歌(ポッパー)

チェロのフェイギンさんはロシア出身でお父さんは「バレンティン・フェイギンValentin Feigin」さんと言って有名なチェリストだそうです。バレンティンさんをネットで調べるとソロ活動の他にモスクワ弦楽四重奏団のチェロメンバーとして活躍したという情報がありました。この楽団はボロディン四重奏団のチェリストのベルリンスキーに指導されたとの事です。有名なベルリンスキーさんの流れを汲むチェリストのようです。

ヴァレンティン・フェイギンさんの演奏写真をネットで見ることが出来ますが、その演奏姿は右手も左手も力が抜けていて、非常にオーソドックスな構えです。その演奏姿勢は息子の「ドミトリーさん」にも受け継がれています。弓を持つ右手は肩・肘・手首がしなやかにカーブして弓は殆ど親指と人差し指だけで握っているような軽さです。しかし出てくる音は非常に力強く低音から高音まで楽器の性能を最大限に引き出している音量です。左手のテクニックもすごいのですが、左手で最も注目すべきはその「ビブラート」の美しさだと思います。低音でも高音でも非常に深い安定したビブラートです。良く見ていると弓が動き始める前から左手がビブラートを始める場面が何回かありました。

曲目ではベートーベンに二曲が非常に堅固でしっかり構築されていた思います。一方ロシアものは全て暗譜で弾かれていましたが、自分の国に音楽として自身に満ちたものでした。アンコールも含めてシューマンが二曲となりましたが、ドイツロマン派の音楽も得意であることをチラっと示していたようです。ピアノ伴奏の奥様とは非常に息が合っていたと思います。特にベートーベンでは的確なダイナミクス変化に関する息がぴったりでした。一方ロシアものではチェロとピアノの曲想が若干異なっていた感じを受けました。ロシアの弦楽器、特にチェロプレイヤーの層の厚さにはビックリですし、その真摯な音楽への取り組み姿勢には改めてロシアの懐の深さを感じました。
02月18日(水)
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