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Kenの日記
by Ken
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■年末のクラシック音楽番組が寂しい状況です。
最近の急激な「円安」の影響あるとは思いますが、2014年は有名オペラハウスの来日公演が驚くほど減ってしまいました。これまで年末のNHK番組では「来日オペラ座引越し公演」とか「海外オペラハウスシーズン開始のプルミエ公演」の特別番組を放送していました。しかし今年は全くと言っていいほどありません。ブルーレイレコーダに保存されていた音楽コンテンツをディスクに移して、録画容量を確保しておいたのですが当てが外れました。
数年前、ミラノスカラ座とかメトロポリタンオペラなどの引っ越しオペラ公演ではチケットが5万円以上で飛ぶように売れた時代がありました。しかし「円安」のなる前からこうしたベラボーに高いチケットは熟れなくなって来ていました。新国オペラとか国内オペラが進化したということもあるでしょうが、世界のオペラ界がスター不足で「何が何でも聞いてみたい」と思わせる「有名歌手」が減ってしまったのも事実だと思います。 「スリーテナーズ」でドミンゴ・カレーラスを残して「パヴァロッティ」が亡くなってしまった後は「スーパースター」が消えてしまった感じはあります。更に言うと、「ネトレプコやダムラウ」が「デセイやゲオルギュー並み」のスリムな体型を維持していたらオペラ界を取り巻く情勢は大分変わっていたと思いますし、男声ではテノール界の人材不足は際立っているようで、今や「カウフマン」が一人が世界の人気を支えているようかのようです。
スーパーオペラ座が来なくなったことに加えて海外廉価版オペラも来なくなりました。昨年まで毎年来ていた「ウィーンバーデン劇場オペラ」も今年の来日はありませんでした。このオペラ公演は多くの地方公演を続けるので、最後の方の公演はかなり上手くなるのでお得なオペラだと思って期待していたのですが残念でした。こちらは多分「円安」の影響が大きいと思います。
オーケストラも同じで数年前まではウィーンフィル・ベルリンフィルが同じ年に来日することが珍しくありませんでした。今年は全く様相が一変してしまいました。その代わりといっては何ですが、ゲヴァントハウス管弦楽団、サンクトペテルブルグフィル、ニューヨークフィル、モントリオール交響楽団、ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団、バイエルン放送交響楽団など様々な国のオーケストラが来日しました。日本の聴衆がいつまでも「ウィーンフィル・ベルリンフィル」を追っかける段階を卒業したのかもしれません。ただウィーンフィル、ベルリンフィルにおける指揮者の魅力が乏しくなっていることもあると思います。ラトルの演奏は流石に凄いとは思いますがラトルはまだ若いので「今聞いておかなければ一生の損」と思わせるものではありません。ウィーンフィルの「メスト」はなおのこと魅力に欠けます。
今年1月に「アッバード」が亡くなりました。「アッバード」の評価は様々あると思いますが、「アッバード」が亡くなったことによって昔から連綿と受け継がれてきた「巨匠時代」が終わったような気がします。「アッバード時代」には既に終わっていて、音楽ファンはアッバードに「嘗ての幻影」を見ていたのかもしれませんが。一昨年ザルツブルグイースター音楽祭からラトル・ベルリンフィルが降り、バーデンバーデンイースター音楽祭を始めました。ザルツブルグのイースターは「ティーレマン・ドレスデン国立歌劇場」が引き継ぎました。この音楽祭はザルツブルグ生まれの「カラヤン」が始めたものでした。「カラヤン・ザルツブルグ」というブランドがクラシック界で非常に大きな力を持っていたことを物語っています。スカラ座のバレンボイム、ローマのムーティも既に退任がきまっているようです。ヨーロッパ音楽会が大きな世代交代時代に入っているようです。
12月23日(火)
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