ID:85567
Kenの日記
by Ken
[99134hit]

■ウフィッツ展

昨日土曜日夜に今年10月から東京都美術館で開催されている「ウフィッツ展」を妻と娘と観てきました。展覧会期間の特定の土・日には夜も開いていて6日の土曜日も午後8時まで見学可能でした。寒くなったし忘年会シーズンの土曜日なら空いているだろうと予想していきました。予想通りで有名な展覧会にしては空いていてゆっくり名画を楽しむことが出来ました。

9月にフィレンツェを旅行したときに「ウフィッツは美術館」は十分楽しんだので東京で開催される展覧会は観なくても良いだろうな思っていましたが、旅行から2ヶ月以上過ぎると再びルネサンス名画を見たくなりました。特に今回の展覧会は「ボッティチェリ」の何枚かの絵が展覧会の目玉でしたし、フィレンツェの幾つかの美術館で気になった「ブロンジィーノ」の絵も含まれているので見たくなったのでした。

「ボッティチェリ」では「パラスとケンタウルス」が他を圧倒していました。「ボッティチェリ」らしい「何を表しているのか意味不明ながら絵の中の人物の物憂い表情が観る人に強い印象を与える」雰囲気を醸し出している代表的な絵のひとつです。この絵はウフィッツでは「ビーナス誕生」とか「プリマヴェーラ」と並んで飾られているのでフィレンツエではどうしてもその2枚に目が行って見逃し勝ちなのですが、この絵を単独でみるととても素晴らしいです。ルネサンス最盛期の1490年前後にはほんとうに自由で明るい絵が生み出されました。

今回の展覧会でもこの15世紀最後の10年間をピークとしてルネサンス美術に明るさがなくなり、題材が次第に残酷になり、描写がおどろおどろしくなっていく様が見て取れました。これはフィレンツェにおける美術愛好家のロレンツォ・メジチの没落・死、サヴォナローラの復古的なフィレンツェ支配、社会混乱の拡大が背景にあると思われますが、私には芸術を理解した大金持ち「ロレンツォ」の死が決定的な影響を及ぼしたように思えます。「ロレンツェ」以降には芸術を理解し優れた芸術家を励まし、普遍的な芸術作品に大金を投ずるパトロンが現れなかったのだと思われます。改めて「ロレンツォ・メディチ」の人類への貢献の大きさに感謝すべきだと思いました。
12月07日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る