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Kenの日記
by Ken
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■俊友会管弦楽団演奏会
今日は昔からの友人が所属する「俊友会管弦楽団」の演奏会に行ってきました。台風18号が接近して強い雨の中でしたが会場の墨田トリフォニーホールは大勢の観客がつめかけました。このオーケストラには固定ファンが付いていることがわかりました。演奏曲目等は以下の通りでした。
俊友会管弦楽団代53回定期演奏会(2014.10.5、於:墨田トリフォニーホール)
指揮:御法川 雄矢
ピアノ:青柳 晋
ブラームス:ピアノ協奏曲第一番 ニ短調 作品15
ベートーベン:交響曲第3番「英雄」 変ホ長調 作品55
ブラームスのピアノ協奏曲第一番は、田園的で大らかな感じの第2番と対照的に、非常に力強く・かつ「片意地張った」ような感じの曲です。私は若い頃は1番の方が好きでしたが、年を経るに従って2番の方に魅力を感じてきました。昔好きだった1番だけに好きな箇所は幾つもあります。第一番の演奏にはまずガッシリした音楽作りが必要になり、強靭な緊張感を保ち続ける必要があります。
ところが1楽章冒頭第一ヴァイオリンによる主題提示が予想に反して「軟弱」でした。最初から「これはまずいな」という印象を受けました。ブラームス演奏ではどの曲でも大事に演奏しなければならない「付点音符」も「甘く」なっています。更に第一番で「緊張感の元」になっているのが「トリル」ですが、ピアノソロの緊張感あるトリルに比べて弦楽器のトリルが全般に音が小さく貧弱になってしまいました。弦楽器による「トリル強奏」が大変難しいのは分かりますが、もう少しなんとかならなかったものかと思いました。
こうしたオケの伴奏を補ったのがピアノソロでした。非常に「見通しの良い」ソロ演奏だったと思います。左手の音が力強くて且つ澄んでいるので全体に非常に安定していて堂々としたものとなっていました。早いパッセージも澄んだ音で演奏され、3楽章冒頭の緊張感も立派だったと思います。知的で整然とした演奏なので第二番、モーツァルトを聞いてみたいと思いました。
休憩後は「俊友会第一会定期」で取り上げたという「英雄」でした。古株の団員にとっては「故堤俊作氏」の思い出を脳裏に浮かべての演奏だったのではないかと思います。「故堤氏」がどのような演奏をしたのか私は知りませんが、今日の「御法川氏」の英雄は「団員達」の共感を得ていたのかどうか少し疑問の演奏だったと思います。まさか「台風接近」状況下で急いだのではないでしょうが、3楽章・4楽章はテンポが速すぎてオーケストラが十分に音を鳴らす状況にはなっていなかったようです。
特にヴァイオリンは「弓の長さ」がどんどん短くなってしまい、大事なところで「しっかしした音」が出ていなかったと思います。そんなハイスピードでも木管族は名手が揃っているらしく見事なアンサンブルと個人芸を聞かせてくれました。特にフルートはハイレベルな演奏だったと思います。
「俊友会」は学生オケOBの集まりです。学生時代には十分に練習を積んで濃厚な演奏ができたのだと思います。25年前の第一回演奏会も若い団員のエネルギーで「英雄」を演奏したのでしょう。そして今回第53回演奏会での「英雄」はどんなものを目指したのか。楽章が進むにつれて判らなくなっていきました。
10月05日(日)
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