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Kenの日記
by Ken
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■福島第一原発汚染水処理
東京電力福島第1原発海側の地下道に滞留する汚染水を遮断するための「氷の壁」が3カ月以上たっても凍らないとのことです。7月末から大量の氷やドライアイスを投入して凍結させようとしているものの効果がないのだそうです。ここで使われている凍結管の中に冷媒を通して水分を凍らせるという技術は、1〜4号機周囲の土中に「凍土遮水壁」を作る技術と同じものだということで、今後の本格的な汚染地下水対策として「凍土壁による遮蔽」の実現可否が懸念されるところです。
この本格的な凍土壁は、地下30メートルまで凍結管を打ち込んで地下水を凍らせて地下水をブロックしようというもので、全長は1.5キロメートルに及び、総額300億円以上の国費が投入されるのだそうです。冬になって気温・地下水温度が下がればこの「凍土壁」は機能し始めるかも知れませんが、夏場太陽がガンガンと照らす地面では凍結は難しく、冬・春に凍結したとしても夏場の凍結維持には物凄いコストがかかるのではないのかしら。
そもそもこの非現実的な「凍土壁による遮蔽の取組」は実は重要な課題の最初の一歩でしかないことを確認しておく必要があります。
地下を通る汚染水が「海」に流れ出すことを差し当たり食い止めても、現在原子炉を冷やし続けていて処分できない冷却水はどんどん溜まる一方であるのです。この汚染水貯蔵のためのコストは今後どんどん増え続けることになります。問題になっている「トリチウム(三重水素)」は水素との分別が困難なことから現実には汚染水を浄化処理することはできないから貯めておくしか方法はないのです。
原子炉廃炉に向けた「原子炉・燃料プール」からの燃料棒取り出し作業が最も重要なのですが、現在震災当時点検中で運転していなかった「4号機の燃料棒取り出し」が昨年11月から始まっていて、今年年末くらいには全燃料の取り出しが終了する予定のようです。その後、震災当時運転中であった1号機から3号機までの原子炉の「原子炉内と燃料プール」に残された燃料棒(原子炉内の燃料棒は溶けて固まっている模様)の取り出し作業に取り掛かることになります。
1号機から3号機の燃料棒については燃料棒合計数では4号機一機分と同程度の量ですが、こちらは一部が原子炉内に溶解した状態で残っているため、取り出し方法を含めて今後の検討課題が山積しているのです。そして、この燃料棒の処理が終わらない限り、原子炉の冷却作業を継続しなければならず、そのための汚染水(汚染度合が今後どのように推移するかは不明)はどんどん増え続けると言うわけです。福島第一原発の4つに原子炉には以下の燃料棒が残されていて、これから順次取り出しが進められます。冷却水貯蔵対策は大丈夫でしょうか。
1号機 392体 燃料プール:平成29年度〜 原子炉内:平成32年度上半期〜
2号機 615体 燃料プール:平成29年度〜 原子炉内:平成32年度上半期〜
3号機 566体 燃料プール:平成27年上半期〜 原子炉内:平成33年度下半期〜
4号機 1,533体 燃料プール:平成25年11月18日〜 原子炉内:無し
08月14日(木)
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