ID:85567
Kenの日記
by Ken
[99148hit]
■イラク情勢
イラクの混乱はますます酷くなっているようです。
イスラム教シーア派「ISIS」はイスラム教国家建設を宣言してシリア・イラク北部を勢力下に治めました。「ISIS」は原理主義的な国家建設を目指しているだけに、イスラム教女性・非イスラム住民の人権のことが気にかかります。アメリカは「ISIS」がイラク北部住民(シーア派、非イスラム教徒)の生存を脅かしているとして空爆による攻撃に踏み切りました。
北部の少数派クルド人勢力は有力の油田地帯を確保して、イスラム教シーア派とスンニー派のイラク政権の行方を冷静に見定めようとしています。アメリカの支援の下に大統領に就任した「マスーム大統領」はクルド人系の政治家ですが、イスラム教内の対立に手を焼いているようです。
バグダットのイラク政府内では挙国一致政権樹立を目指すマスーム大統領派は、強硬派イスラム教シーア派のマリキ首相を更迭できないでいます。軍を掌握しているマリキ首相は逆にバグダット市内に軍隊を終結させ「クーデター」の動きを見せています。
アメリカの作戦としては、空爆によって「ISIS」の南部進出を牽制する一方、「ISIS」も受け入れ可能な挙国一致政権を早期に樹立してイラク国内の対立を収束させることにありますが、これには幾つかの前提条件が付いています。まず「ISIS」がアメリカの空爆に対して大規模な反撃に出ないこと。そして強硬的なシーア派マリキ首相がおとなしく第一線から引きさがって挙国一致内閣を樹立できる「穏健」な政治指導者を早期に探し出すことです。
二番目の条件が早期に達成されないと「ISIS」はアメリカの空爆への反撃を開始することになります。もしそうなってしまったらオバマ大統領は夏休みを取っている場合ではなくなります。「ISIS」を主導しているイスラム教スンニー派の原理主義組織の実態は掴み難い存在です。アメリカの攻撃に対し「オサマ・ビン・ラーディン」並みの反撃をする可能性もあるし、アメリカの真意を読み取って自重を続けるかもしれません。差し当たりアメリカの空爆が継続されるとすれば、今年の「9月11日」はアメリカに限らず西側諸国では厳戒態勢が必要になると思われます。
08月11日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る