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Kenの日記
by Ken
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■安倍首相とメルケル首相の
オーストラリアを訪問している安倍首相は7月8日首都キャンベラの国会議事堂で演説を行いました。さすがに6月のシンガポールでの演説のような高慢なものではなく、積極的平和主義を強調しつつも「戦後の反省」「東日本大震災でのオーストラリアからの支援への感謝」を大きく取り上げていました。しかし非常に気になったポイントがあります。それは第二次世界大戦の始末に関する発言です。
「Hostility to Japan must go. It is better to hope than always to remember.(日本に対する敵意は去るべきだ。常に記憶を呼び覚ますより未来を期待するほうがよい)。第二次世界大戦後に日本と新たな外交関係を始めるにあたって当時のオーストラリアのメンジーズ首相が語った言葉だそうです。安倍首相はこの言葉を引用し以下のように続けました(首相官邸ホームページ)。「再び日本国と日本国民を代表し申し上げます。皆さんが日本に対して差し伸べた寛容の精神と友情に、心からなる感謝の意を表します。私たちは、皆さんの寛容と過去の歴史を決して忘れることはありません。」
「過去を乗り越えて未来志向で行こう」という言葉は加害者は十分注意して用いる必要があると思います。特にそのようなに考えない国々が神経を尖らせているときには尚更です。迷惑を被った国々にはそのように考える国々もあれば、「過去はまだ乗り越えられない。あるいは以前はそう考えていたが最近日本の姿勢を見ているとそのように思い続けることができなくなった」という国々もあるのです。加害者たる日本はどちらのタイプの国に対しても同じように誠意を尽くして対応する必要があります。「過去を乗り越えよう」という国とだけ仲良くして、そうでない国に対しては厳しい態度を取ることは加害者としては決して許されないと思います。
丁度同時期に中国を訪問したドイツのメルケル首相は「過去の戦争に対する日本とドイツの戦後の取り組みをどのように考えているか」と問われて以下のように答えています(SCMPの報道から)
「Every one of us has to reflect on what we have done wrong," Merkel said of Germany's handling of the second world war, adding that many young Germans in the 1960s constantly asked their parents about life under the Nazis. "This is a painful process," she said. "But it is the right thing to do. The new generation also has to face history, and this is crucial to avoid repeating mistakes."
「すべてのドイツ人は自分達が間違ったことをしたことを振り返らなければなりません。1960年代に多くの若いドイツ人がナチ政権下の生活がどんなものであったのか自分の親たちにしきりに質問しました。それは非常に苦痛を伴うやり取りでした。しかしそうすることが正しいのです。若い世代も歴史を真正面から向き合う必要があります。そうすることが再び間違いを起こすことを防ぐために必須であるからです」
ドイツは第一次世界大戦の敗戦経験に懲りずに第二次世界大戦への道を歩みはじめ再び敗戦の悲惨さを経験しました。第一次世界大戦で連合国側について勝利した日本はまだ敗戦を一回しか経験していません。ドイツメルケル首相は「日本のことを念頭に発言しているのは無い」としていますが、二度の敗戦を経験した国民の代表の言葉私たちは重く受け止める必要があると思いました。
07月09日(水)
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