ID:85567
Kenの日記
by Ken
[99163hit]
■イラク崩壊寸前
イラクが崩壊寸前です。イラク西部のイラク・シリア国境施設が反政府勢力に奪われました。実質的にシリアから反政府勢力の流入・支援物資輸送が自由になっています。一方イラク北部のクルド人居住区(自治区)ではクルド人国家建設の動きが出てきています。反政府組織(スンニー派)がこれから東部の首都バグダットを攻略するのかどうか分かりませんが、西部スンニー派居住区、北部クルド人居住区、東部シーア派居住区の3国家にイラクが分割される可能性が出てきました。
23日にアメリカのケリー国務長官がイラクに急遽飛んでイラクの「マリク首相」等と協議し、憲法に基づく国民代表政府を成立させイラクの主権を確立するよう強く求めたようですが、「Sovereign / Constitution」といった単語が非常に空しく聞こえました。「イラク」という国家が元々どのような存在であったのか。第二次世界大戦前後から「イラク」の地域は、「王政」で治められたり「共和制」が成立したり、「軍政」で支配されたりしましたが殆ど長続きしませんでした。サダム・フセイン打倒後の現共和制政権も全土(各宗派)を治めることができません。憲法に基づく住民選挙が円滑に機能して、各派・各民族の代表が民主的で堅固な政権を構築できるとは到底思えません。と言って第一次世界大戦直後の「委任統治」という暫定統治方法は犠牲が大きすぎて引き受ける国はないでしょう。
第二次世界大戦後イギリスから独立した「旧インド」は宗教によって「インド、パキスタン、スリランカ」に分かれました。ヒンズー教・イスラム教・仏教の国に分かれたのですが、当然ながら分割に際しては物凄い混乱がありました。それまで同じ民族の異教徒が混在して居住していたのに突然国が別れたのですから、移住する人・少数となっても故郷に残る人等様々な状況が発生して混乱の中で数百万人の住民が犠牲になったということです。
しかし時間が経つにつれて各国家は安定し、多少揉め事はあっても平和共存する道が確立されてきていると思います。「イラクの地域」を民主的に治める方法がないのであれば、「宗教・民族」で区切る方法も選択肢の一つとして考えても良いと思います。クリミア半島はいつの間にか「ロシア領」になってしまったように、現実の世界は必ずしも法律・話し合いだけが解決方法であるとは言えない状況になっています。それは残念ではありますが。その場合「スンニー派国家」が「イスラム原理主義」に支配されて「国民の人権」が蹂躙されるようであれば非常に困ったことになります。その見極めが非常に重要になってくると思います。
06月24日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る