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Kenの日記
by Ken
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■非常に心配なイラク情勢
イラク情勢はますます混迷の度を増しています。イスラム教スンニー国家設立を目指す武装集団(ISIS)が北部のイラク第二の都市を制圧し同国最大の原油精製施設を掌握して首都バグダットに近づいています。これに堪らずイラク政府はアメリカに助けをもとめたようです。

アメリカ・イギリス主体の国連軍がサダムフセイン政権を倒してイラクに親米政権を樹立し、国を治めるための軍隊・警察組織を育成強化してきましたが、そのイラク政府軍・警察は脆くもアルカイーダ系の武装集団に敗れてしまいました。これは例えて言えば、明治時代の西南戦争において西郷軍が政府軍をどんどん打ち負かして大阪・京都を制圧し、東海道を首都東京にむけて進軍してくるようなものです。明治政府は堪らずにアメリカに艦隊派遣を依頼して駿河湾あたりで西郷軍を迎え撃つといった構図でしょうか。

今回のイランの反政府組織がどうしてそんなに強いのか。少し調べてみるとその「残忍性」に強さの秘密があるのではないかと思われてきます。ISISはイラク政府とその軍隊を「背徳者」と呼んで非常に残忍な方法で殺戮します。「9.11」の同時多発テロは非常に残忍な行為でしたが、最近のナイジェリアのテロや今回のイラクの武装勢力の行為は、その「残忍さ」を受け継ぐとともに、更に「過激で非情」な集団になっているように思えます。「テロ」に残忍さの段階を付けるのも変ですが、テロ集団が存続している限りテロ集団は「より過激」になっていく可能性があるのだと思います。これは「インフルエンザウイルス」が伝播しながらその毒性がどんどん強くなる傾向に似ています。

少し前にリビアのカダフィ独裁政権が倒れたことをきっかけにして「アラブの春」が訪れるのではないかと期待されました。サダム・フセインにしろカダフィ大佐にしろ西側の指導者からすると大変な無法者だったかもしれませんが、アルカイーダに恕リがるテログループからすると「ずいぶんまし」な政権だったのだと思います。

今回のISISはイラクからシリアに至る地域にスンニー派イスラム国家を樹立を目指しているのだと言います。シリアのアサド政権にしても現在のイラクのシーア派政権とは近いのでアメリカとしては随分複雑な関係を作ってしまいました。「悪漢を倒すとさら性質の悪い悪漢が入り込む」地域なのだと思います。人間社会にはいきなり先進国並みの民主主義国家が忽然と出現するようなゲームのようなストーリーはないようです。
06月18日(水)
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