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Kenの日記
by Ken
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■スカラ座 椿姫初日
2013年12月7日ミラノ・スカラ座のオペラシーズン初日の模様がNHKBSプレミアムで放送されました。演目は「椿姫」。ダムラウがヴィオレッタを歌うということなので録画しておいて早速通して見てみました。配役は以下の通りで今売出し中のテノールのベチャワがアルフレードを歌います。これも楽しみでした。
ヴェルディ歌劇「椿姫」
ヴィオレッタ:ディアナ・ダムラウ
フローラ:ジュゼッピーナ・ピウンティ
侍女アンニーナ:マーラ・ザンピエーリ
アルフレード:ピョートル・ベチャワ
ジョルジョ・ジェルモン:ジェリコ・ルチッチ
ガストーネ:アントニオ・コリアーノ
ドフォール男爵:ロベルト・アックルソ
ドビニー:アンドレア・ポルタ
グランヴィル医師:アンドレア・マストローニ
ジョゼッペ:ニコラ・パミーオ
合唱:ミラノ・スカラ座合唱団
管弦楽:ミラノ・スカラ座管弦楽団
指揮:ダニエレ・ガッティ
イタリアミラノ・スカラ座で12月7日収録
ガッティにかなりの拍手で迎えられました。このミラノ生まれの若い指揮者への期待が大きいことを伺わせました。オケの伴奏は全体としてもう少し引き締まった表情が欲しいと思いましたが、終幕後かなりの拍手をもらっていました。
一幕が始まり、華やかなパーティが舞台狭しと広がっていますが、暫くは「ダムラウ」を発見することができませんでした。同じスカラ座の「リゴレット」公演比較のために、昔のダムラウの「ジルダ」を見たばかりなので顔を忘れるはずはないのですが。妻に教えられブルーのゆったりしたドレスに身を包んだ太めの「おばさん」がダムラウだと分かりました。
歌を聴くと分かるのですが映像からは難しかったです。歌に集中しようと聞きましたが頭の中の思考は「どうしてこんなに太っちゃったの?」ということを消し去ることはできませんでした。アルフレードのベチャワは終始コントロールの効いた「出入りのない」柔らかい声を聞かせてくれました。こういう「頼りない役」はぴったりな風貌だと思います。だれかに似ていると思っていましたが妻の「柴犬に似ている」と評に一本取られました。日本人聴衆には好かれる風貌だと思います。ポスト3大テナーの一角を占めているとか。
オペラ全体通して良くわからなかったことは「ヴィオレッタは恨みを持ったまま死んだのか」という疑問です。ダムラウの歌い方もあるのでしょうが、死に瀕しながらもジェルモン父子に裏切られた恨みを消し去ることができないよう印象を受けました。
丁度クリスマスミサでローマ法王が「愛と憎しみ」の演説をしました。それは現実の世界に蔓延する悲劇の連鎖(報われない死)に対する警鐘だと思いますが、オペラの舞台でまで「癒えない恨み」を表現されると少し食傷気味になります。ジェルモン父子は「ヴィオレッタの死」に対する罪の意識と「ヴィオレッタの恨みの強さ」に対する「恐れ」を表現していたような気がします。
最後まで理解し合えない者が、その対象相手の死に臨むような非常に居心地の悪い終幕となっていたような気がします。これは新演出の狙いなのでしょうか。
12月25日(水)
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