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Kenの日記
by Ken
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■ネトレプコ・ホロストフスキー赤の広場コンサート
2013年6月19日モスクワの赤の広場で行われた「ネトレプコ・ホロストフスキー」のコンサートのDVDを買い早速全編通して見てしまいました。赤の広場の南側に臨時舞台が設営されていてステージの後ろにはカラフルで特徴的な尖塔をもつセント・ワシリー教会が映し出されています。コンサートの始めでは綺麗に澄んだ青空を見ることができますが、映像の中の時計は8時30分を示しています。夏至に近いモスクワの夜はこういう感じなのですね。7500人の聴衆が詰め掛け、最前列席は1100ドルだということでロシアでの二人の人気を示す数字です。

当日の演奏曲目は以下の通りでした。オケ演奏の「運命の力」序曲はじまりました。ヴェルディ生誕200年記念年なのでプログラムにもヴェルディが並びました。最初の序曲は「運命の力」が選ばれました。ロシアで初演されただけにロシア音楽家にとっては非常に親近感のあるオペラのようです。タクトを持たず愛嬌のあるおじさん風指揮者の「コンスタンティン・オルベリアン」はなかなか引き締まった音楽を聞かせてくれます。多少のオケ乱れは指揮者とオーケストラの気合が消してしまいます。

・『運命の力』序曲
・『シチリア島の夕べの祈り』〜ありがとう、愛する友よ
・『ドン・カルロ』〜O Carlo, ascolta
・『トロヴァトーレ』〜見ろよ、夜の暗い衣を/静かな夜・・・私のこの気持ちは/君の微笑み/聞いたか? 朝ともなれば
・『トスカ』〜行け、トスカ(テ・デウム)
・『アンドレア・シェニエ』〜母は亡くなり
・『ナブッコ』〜行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って
・『リゴレット』〜悪魔め、鬼め
・『エフゲニ・オネーギン』〜あなたは私に手紙をくれました/ポロネーズ/O! Kak mne tiazhelo
・『チャールダーシュの女王』〜ハイヤー、ハイヤー、山こそわが故郷
・黒い瞳
・モスクワ郊外の夕べ

ソプラノ:アンナ・ネトレプコ
バリトン・ドミトリー・ホロストフスキー
指揮:コンスタンティン・オルベリアン
演奏:ロシア国立交響楽団「エフゲニー・スヴェトラノフ」
合唱:ロシア国立合唱団
収録場所:モスクワ「赤の広場」


この演奏を聞いたあとで我が家にある10年前の同じ「ネトレプコ・ホロストフスキーの競演」を聞いてみました。それは2003年収録のサンクトペテルブルク建都300周年のガラコンサートでの演奏です。2013年現在ネトレプコ41歳、ホロストフスキー51歳だということですが10年の時を経た二人はどのように変わっているのか対比してみました。

ネトレプコはその容姿が示すように、この10年で結婚・出産を経験した結果でかなり「太め」になっています。声も容姿同様に身体の響きが豊かになった結果「メゾソプラノ」といっても不思議ではないような分厚い周波数成分が混じっています。10年前すでの抜群に上手いのですが、どこかギスギスしていた感じの声が「マロヤカ」になって安定感が増し安心して聞いていられます。

「太った」とはいうものの昨年のザルツブルクでの「ラ・ボーエム」の時よりは身体を絞ったように思えました。10年前のスリムな身体にに戻せとはいいませんが、この調子でダイエットしてくれれば、レハール喜歌劇「ジュディッタ」の踊りが踊れそうです。この赤の広場コンサートのアンコール『チャールダーシュの女王』で踊りの片鱗を見せていました。

ホロストフスキーは正直言って10前と殆ど変わっていないという印象です。相変わらずの物凄い上手さ。ロドリゴのアリアでも驚異的な息の長さは健在でした。10年経っても体力を維持してスリムな体型を保っているのは大したものだと思いました。カメラが女性の観客達がうっとりした表情で聞いている姿を何回も捉えていますが本当に歌が上手くて二枚目です。今日のプログラムではトスカの歌はホロストフスキーの器用な一面を示していたと思います。

アンコールの「黒い瞳」「モスクワ郊外の夜」は歌手・観客ともノリノリでした。スリーテナーの時代は終わりましたが、現在大勢の観客を集めて、その観客を感動させることが出来るのはこの二人ですね。
12月18日(水)
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