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Kenの日記
by Ken
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■インドのワイン「スーラ」

最近急激に人気が出ているという話題のインドワイン「スラ」を飲んでみました。これはオーソドックスな「シラー種」です。シラーの他にも多くの種類の葡萄からワインを作っているのだそうです。値段は格安という訳ではないですが2000円未満で、地元で大量消費するための「ガブ飲みワイン」を作るのではなく主に海外消費者向けにワインを製造しているのですからこれくらいになるのかと思われます。

「シラー酒」に関する限りでいうと、非常にフルーティで香りが豊かでバランスの取れたワインだと思いました。そして素直に作っている感じがします。このワイナリーのワインが熟成するとどのようなワインに育って行くのかまだわかりませんが、こういうワインは高級志向ではない素人ワイン愛好家には喜ばれると思います。ぜひ大衆向けワインを生産し続けて欲しいものです。

「スーラ」を生産するヴィニャードは、インド西部のムンバイから180キロ北東に離れた「ナシーク」にあるのだそうです。私はムンバイに住んでいた時に「サイババの街シルディ」まで行ったことがありますが、その途中で「ナシーク」の街を通過したことがあります。ナシークは「ムンバイ−アグラ」間の主要国道3号線沿いにあります(3号線はアグラでコルカタとデリーを結ぶ国道2号線に合流します)。この国道3号線は内陸を通るもので、デカン高原の険しい山脈を通過するのではなく低い丘陵地帯のゆったりした大地を延々と進むものでした。

砂礫に覆われたなだらかな大地で海抜600メートル程の高地であるため、ナシーク周辺はブドウ栽培に適した土壌が広がっているようです。自分の出身地ナシークのこうした利点に気が付いた創業者の「ラジーヴ・サマント」さんが有名なワイン醸造家をコンサルタントに迎えて1997年からワイン作りを始めたのだそうです。

インドのワインというとこれまでは「グローバー(GROVER)ワイン」が有名でした。今でも日本のインドレストランでは良く見かけます。こちらのワイナリーはハイテク製品のフランスからの輸入で財を成した「グローバーさん」がフランスワインに惚れ込んで引退後に始めたのだそうです。一方「スラ」はというと、スタンフォード大学を出てシリコンバレーで働いていた「ラジーヴ・サマント」が若くして脱サラし始めたのでした。彼が親しんでいたのはナパのカルフォルニアワインであったのでしょう。このようなワイナリーの生い立ちの差が今の「スラ」の味にも現れているようです。
11月01日(金)
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