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Kenの日記
by Ken
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■アルジェリアの人質事件
アルジェリア東部の天然ガス田施設建設現場で起きた「人質事件」で、人質の多くに犠牲者が出ているようです。「日揮」の日本人17人の社員についても10名の安否が不明となっているとのことです。
今回の事件においては、現地から正確な情報が日本国内に届かない事に対する不安・不満が非常に大きいように思えます。ニュース解説などでは日常の情報収集活動だとか地道な交流活動をしておいてこそ非常時の情報確保が可能となるのだといった声が発せられています。それは尤もなことだと思いますが。
それは良いとして、気になったのが「現地の情報取得・管理」に対する過度の期待があるように思えたことです。日本ではテレビ・ラジオ・インターネット等を通して事件・事故の情報は非常に速やかに流れることが当たり前となっています。日航ジャンボジェット墜落事故の際、現場を管轄していた長野県・山梨県のNTT関係者は事故現場における関係者(救援隊・マスコミ等)の通信確保のために無線機を背負って現場に急行したのだした。
日本においては都市部では通信網が行き届いているし、僻地であっても様々な通信手段を即座に構築できるような体制が準備されています。しかしそのような国は世界の中ではほんの一握りの国でしかないことは理解しておくべきだと思います。こうした備えは国土の広さとか、砂漠などの自然環境条件によって更に構築が難しくなります。これは通信に限らず、電力、交通網、医療施設等のインフラ設備には共通的にあてはまることだと思います。
日本人が外国で陥り易い「危険」、あるいは日本に住んでいて外国に状況に原を立てたりしてしまう原因は、外国の状況は日本に近いだろうと推測してしまうところから来ると思います。当然ですが日揮からの現地派遣社員はそのことは十分承知のはずです。しかし現地での警備体制整備だとか、銃器類の準備等、自分達の安全は自分達で守るための準備がどれくらいなされていたか。またそういう必要性を日本から推測して金を費やしても準備していたかどうか。
嘗て内戦終了前のスリランカで勤務していた頃、スリランカ政府関係機関に転出した嘗てのトップを訪ねた時、自分の机から政府から貸与されている「護身用ピストル」を取り出して見せてもらったことや、私の通勤用の車のトランクには常に防弾チョッキが積まれていたことを思い出しました。勿論そういう装備があったとしても今回のテロ事件に対処できたとは言いませんが。
今回のテロ発生に際して、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ベルギー等の政府の対応において日本だけが非常に特殊な反応をしているように思えました。テロとの対決においては毅然としたかつ素早い対応の必要性だと痛感しました。日本政府の対応は、まず状況の把握に努めて人質の人命を最大限尊重した対応を取ることとなったことでしょう。そうすると武力解決のタイミングを逸することになりかねません。これから人質の犠牲者数は増えることとなるでしょうが、それでもアルジェリア政府の対応方法を評価する世界各国の雰囲気は崩れないでしょう。
日本国憲法前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。」と書かれていますが、世界には平和を愛さない勢力もあることは事実です。そういう勢力に対して国民・政府はどのように対処するのか。残念ながら現憲法が想定している世界はまだまだ実現していないというところでしょうか。
01月21日(月)
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