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Kenの日記
by Ken
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■宮崎滔天の自伝
「辛亥革命」100周年関連で、孫文や孫文を支えた日本人関連の書籍を読んでいますが、その中に手に入らないものがありました。それが宮崎滔天の「三十三年の夢」でした。岩波文庫版は既に絶版になっていたし、東洋文庫ワイド版は装丁の割に値段が高いので購入を躊躇していました。ところが「三十三年の夢」が昨年2011年9月に第3刷が出されたのでした。まさに辛亥革命100周年に相応しい計らいだと思います。最近になって横浜有隣堂で見つけたので早速買って読んでいます。
清朝末期の「戊戌の政変」から「辛亥革命」を経て「中華人民共和国」が成立し、その後の文化大革命、改革開放を経て現在の隆盛する中国が建設されてきました。まさにこの日本にとっても隣の大国中国のこの100年間の動きは非常に影響の大きいものでありました。特に辛亥革命前後の時代は、清朝保皇派・革命派・軍閥・共産主義の勃興等と中国国内も複雑であるし、日本が大きく帝国主義に舵をとった大きな転機であったのでした。
明治日本政府は基本的に西洋諸国に追い付こうとして遅れて定刻主義競争に参加した新参国だったと理解していますが、その明治政府とは距離をおいて民間人が中国・朝鮮に関わり持ったことは非常に重要だと思います。それは一部に明治政府・帝国陸軍の別同部隊だったとも看做されることがありますが、中には非常に純粋に明治政府とは対立しながらもアジアの開放・人々の生活の向上を目指した活動もありました。
「明治政府の帝国主義とは異質の」というと西郷隆盛の外交方針がありますが、西郷の考え方がこれらの人々の根底に流れていると思います。そうした人々の中でも象徴的な人物が「宮崎滔天」です。「三十三年の夢」は1871年に生まれの滔天の1902年までの33年間の人生を回顧した自伝です。
この自伝が書かれてから「辛亥革命」までは10年の年月が必要なのです。もし孫文の革命が成功していなければ「三十三年の夢」はたぶん殆ど忘れ去られていたことでしょう。しかし結果として滔天が当初から信頼してきた支援してきた「孫文」が革命に成功することによって滔天の評価は見事に確固としたものとなりました。歴史的にも大変重要ですが、滔天の破天荒で純粋無垢な生活信条は痛快です。
03月03日(土)
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