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Kenの日記
by Ken
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■チューリッヒ歌劇場「カルメン」
NHKのBS放送を録画しておいた「チューリッヒ歌劇場」の「カルメン」を観ました。カルメンは先先週に浦和市民オペラを観たばかりで、物足りない部分が沢山あったので非常に興味を持って観ました。配役・演奏は以下の通りで、カルメンは現在最高のメゾのひとりの「カサロヴァ」です。指揮は2010からウィーン国立歌劇場に決まっている「メスト」です。若手の有望株ですが私は若いメストのテンポになかなかついていけません。
カルメン (ロマの女) : ヴェッセリーナ・カサロヴァ
ミカエラ (ホセのいいなずけ) : イサベル・レイ
フラスキータ (カルメンの友だち): セン・グオ
ドン・ホセ (竜騎兵の伍長) : ヨナス・カウフマン
エスカミーリョ (闘牛士) : ミケーレ・ペルトゥージ
スニーガ (竜騎兵の隊長) : モーガン・ムーディ
モラーレス (竜騎兵の士官) : クレシミル・ストラジャナッツ
ダンカイロ (密輸入者) : ハビエル・カマレナ
レメンダード (密輸入者) : ガブリエル・ベルムデス
合 唱: チューリヒ歌劇場合唱団、チューリヒ歌劇場 児童・少年合唱団
管弦楽: チューリヒ歌劇場管弦楽団
指 揮: フランツ・ウェルザー・メスト
美術 : フォルカー・ヒンター・マイヤー
衣装 : スー・ビューラー
照明 : マルティン・ゲプハルト
演出 : マティアス・ハルトマン
(収録: 2008年6月26日,28日, 7月1日 チューリヒ歌劇場 (スイス))
まず演出ですが非常に現代的でした。一幕「タバコ工場の門前」はパラソルが置かれて一応警備隊の詰所的な場所を示しているだけ、ニ幕の「酒場リリアス・パスティア」はエスカミーリョが登るテーブルとホセが座るための椅子が中心。第三幕では舞台後方に大きな「月」が設置され、4幕のセビリアの闘牛場は舞台右奥に大きな「木」が設置されるだけでした。面白かったのは、4幕で闘牛士が登場する場面で、闘牛士を追う聴衆の目線と動きだけで表現していました。難を言うと舞台全体が傾斜しているため、歌手が歌いずらそうな感じがしたことです。
歌手では、カルメンのカサロヴァとホセのヨナス・カウフマンに感心しました。カサロヴァのカルメンには批判的な評価もありますが私は大納得でした。「カルメンがなぜホセを誘惑しそして簡単に裏切ってしまうのか。本当にホセを愛したのか」。今回のカサロヴァの演技には相当程度共感する事ができました。カサロバの一幕のハバネラは非常に抑えた歌唱で、カルメンが単に情熱的で妖気を発散する女性ではなく、人間的に複雑な存在であることを示していました。その演出はホセのキャラクター付けによって成功していたようです。ホセは大きな眼鏡をかけて(妻によるとスーパーマンの普通の時の格好とのこと)弱弱しい印象を与えます。お母さんからの手紙を読む雰囲気は「マザコン」そのもの。しかし良く見ると二枚目で真面目で一途なホセにカルメンが惹かれていきます。
ニ幕で期待するのは何と行っても闘牛士のエスカミーリョ。しかし、ミケーレ・ペルトゥージの演ずる闘牛士は、押し出しは良いものの、少し「メタボ」気味。あれでは牛には勝てない。カルメンが惚れるほどの「オーラ」もありません。そのことによって4幕でのカルメンがホセを待つことにも繋がっていて結果オーライでした。
3幕から4幕では、マザコンのホセが母危篤の情報に接して盗賊団を抜けてミカエラと共に帰省するものの、再びセビリアの闘牛場に現れてカルメンに言い寄り、最後にカルメンを刺し殺してしまうのですが、ヨナス・カウフマンは上手に演じていたと思います。二枚目でマザコンの駄目男のホセですが、ニ幕では上官に、そして3幕ではエスカミーリョに決闘を挑むし、本気になると「怖い」気質を持っているのです。カルメンはホセの正体を知って「死」を覚悟しました。
フラスキータ、メルセデス、ダンカイロ、レメンダードなどの脇も歌唱力があり重唱は素晴らしい出来栄えでした。難を言うと「メスト」のテンポです。歌手には好評かもしれませんが、もう少し落ち着いたテンポでやって欲しかった(特に3幕)。
09月22日(火)
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