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Kenの日記
by Ken
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■映画「ラ・ボエーム」初日
今日2月14日(バレンタインディ)は、ネトレプコ・ヴィラゾンの映画「ラ・ボエーム」の初日でした。ということで新宿南口の高島屋「テアトルタイムズスクエア」の4時から放映を見てきました。

「ラ・ボエーム」オフィシャルサイトはこちら

通常の大人料金は1800円ですが、「夫婦50割引(夫婦どちらかが50歳以上)2,000円/ご夫婦」を適用して妻と二人で2000円で観てきました。新宿高島屋ビルは娘がバイトをしているところでもあります。チケットを購入してから時間があったので娘の職場を眺めてきました。因みに今日娘は仕事に来ていません。

さて「ラ・ボエーム」ですが、涙を流さずにはいられないオペラです。歳のせいか1楽章から涙が出てしまって困りました(対照的に第4幕は冷静に観ていましたが)。ロドルフォのヴィラゾンは本当に素晴らしい声です。更に顔の表情とか目線がアップになっても非常に自然でした。彼が舞台の上でもこのように細やかに演技しているのだとすると大したものです。

ヴィラゾンの演技に対して、ネトレプコは少し映画のアップに戸惑っていたようです。舞台の上での大げさな演技は素晴らしいものがありますが、映画のアップになった場合の目線だとか表情は単調でした。フィガロのスザンナ役の時に「鉄面皮の伯爵夫人を睨んだ眼」のような演技は今回はどこにもありませんでした。病気の「ミミ」の雰囲気を出すためには、目の下の「クマ」だとか、彩度を落としたモノクロ映像が必要だったようです。この映画の撮影時期には恋人とラブラブで妊娠していたかもしれず、幸せ一杯ネトレプコのはずですから、病気の「ミミ」にような役は難しかったのかなとも思いました。

映画「ラ・ボエーム」では解説書で「黒田恭一」さんが指摘しているように第1幕でびっくりする場面がありました。マルチェルロ達がクリスマスイブを楽しむために居酒屋「モミュ」へ先に行って待っているのに、ミミと出会ったロドルフォは有名な自己紹介の唱を歌った後に、下のミミの部屋に降りて行って「ベッドイン」してしまう。時間の経過の辻褄合わせのために、コッリーネが「床屋」に行ってくるという苦しい展開をせざるを得なかった。そこまでやる必要はなかったと思います。こうした展開が第2幕の「モミュ」でのロドルフォとミミのベタベタシーンに繋がってしまうのです。また冬の寒い場面での「薄着の衣装」が気になりました。4幕の瀕死の「ミミ」がマフを欲しがりながら「ノースリーブ姿」というのは理解に苦しみました。

今日の映画は1幕から4幕まで連続の休憩なし。そういう作りもストーリーを理解する上では違和感がありました。第2幕と第3幕、第3幕と第4幕の間には、終わった幕の内容を整理して次の展開に備えるための考える時間が必要だと思いました。また「ミミ」のキャラクターをどのように作るのかも非常に大きな課題だと思いました。不治の病にはあるものの奔放な明るく「活発な」女性と描くのか、あるいは不幸を背負った清楚な女性として演ずるのか。今回のネトレプコは突き詰められなかったという印象が強いです。

やはり、大きな劇場で遠くの歌手の歌を聞き、オーケストラの繊細な表現を味わいながら聴衆が自分の「ラ・ボエーム像」を育んでいくといくというのがオペラの醍醐味なのでしょうね。
02月14日(土)
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