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Kenの日記
by Ken
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■日フィルの音楽会
NECが提供する社会貢献コンサートに応募し、運良く当たって日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートを聞くことが出来ました。会場で紹介がありましたが、10000人を超える応募があり、その中で2000人程度が当選したようです。でも2階席・3階席には空席が目立ちました。主催者が来るだろうと思って当選させた人数に思惑が外れたみたいですね。
会場は池袋の東京芸術劇場。池袋で妻と待ち合わせました。いつも思うのですが芸術劇場は「地震」が来た時とか「火災」があった時に大丈夫なのでしょうか。大人数を収容する大ホールがかなり上の階にあるので、非難客がエスカレータに殺到すると思います。だって終演後のエスカレータが凄く混雑するのですから。
演奏曲目は以下の通り。
指揮:高関健、ヴァイオリン独奏:黒川侑
ベートーヴェン 歌劇「レオノーレ」序曲第3番
シベリウス ヴァイオリン協奏曲
チャイコフスキー 交響曲第4番
今日の興味は、若い「黒川さん」がどんなシベリウスを聞かせるのか、高関・日フィルがレオノーレ、チャイコフスキー等の難曲でどんな演奏を聞かせるのかということでした。
最初のレオノーレ序曲で「おや?」と言う感じがして、その違和感が最後まで尾を弾いてしまった感じでした。序曲最初の和音が「厚みが無い」のです。トランペットがしっかりした音を出していましたが、その他のパート特に弦楽器に力が無い。この印象はメインのチャイコまで共通しました。序曲の序奏が終了してテンポがアレグロの変わり、第一バイオリンとチェロが主題を「PP」で始めるところ(レオノーレ第2番ではチェロだけで提示されます)。ベートーベン流に長大なクレッションドを経て管楽器に引き継がれることは分かっていますが、最初の主題があまりにも「そっけない」。
主題は2小節のスラーと次の2小節の「アーティキュレーション」の対比によって特徴付けられますが、その天才に対する敬意・驚き・感動が殆どありませんでした。この曲全体はシンコペーション、アーティキュレーションの集合みたいな曲ですが、どんな速さでも「くっきり」表現することが求められます。細かいアーティキュレーションを聞き取る事はできませんでした。
音楽のひとつの聞き所が「リズム」だとすると、次のシベリウスもチャイコフスキーもリズムがポイントになる曲でした。シベリウスでは3楽章のソロバイオリンの「リズム」。さすがの「黒川さん」も緊張したみたいで、難しい部分が走りましたね。シベリウスは1楽章・2楽章を好演しても終わりの3楽章が評価を決めてしまうような曲です。黒川さんは3楽章の最初の出だしでリズムが甘くなってしまったことが最後まで尾を引いた感じでした。しかし、時々双眼鏡でみましたが、バイオリンを弾く姿勢とか力の抜けた理想的とも言えるボーイング、上品なビブラート、左手のテクニックなど、音コン1位になった実力は凄いものがあると思いました。今年秋からウィーンに留学するようですが本場の音楽を吸収して大きく成長してほしいものです。
チィコフスキー4番ですが高関さんは大分苦労して振っていらっしゃいました。練習不足の感を免れません。弦楽器のボーイングが全て短めになり、8分の6音譜の難しいボーイングを必死に引いていると感じ。音に厚みがありません。これはスピードを要求される4楽章でも全く同じ光景でした。一番良かったのが3楽章。弦楽器の難しい「ボー」がないので、音が均一で良く鳴っていたと思います。しかしここは木管が苦しかった。チャイコフスキーで重要な箇所で終始音楽を締めていたのは力強い「トランペット」でした。
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10月30日(木)
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