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Kenの日記
by Ken
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■グルジア紛争関連
グルジアからの独立を望むグルジア国内の「南オセチア」を支援する目的でロシア軍がグルジアに進攻しました。諸外国の非難も何のそのでロシアは南オセチアの独立を承認しました。
このグルジアとオセチアの紛争に関係して、ワレリー・ゲルギエフが8月21日、南オセチアの州都の「ツヒンバリ(Tskhinval)」の州議会ビル前でオセチア支援のコンサート開きました。色々な情報を集めてみると以下のようなコンサートであったようです。
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
演奏:マリインスキー歌劇場オーケストラ(全員黒い喪服着用)
演奏曲目
:チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」
:ショスタコービチの交響曲第7番「レニングラード」
このショスターコーヴィッチの交響曲第七番は1942年ドイツのソ連進攻を跳ね返した勝利の記念としてムラヴィンスキーによって初演されました。また同じ年にゲルギエフの師であるイリヤ・ムーシンもタシケントで演奏したという記録があります。
ゲルギエフはオセチア人の両親のもとにモスクワに生まれ、北オセチアの州都ウラジカフカス(Vladikavkaz)で教育を受けました。彼の通ったウラジカフカス音楽学校はゲルギエフの名前をとって改称(the Valery Gergiev Music Academy)したとのことです。因みにゲルギエフの若い奥様もこのウラジカフカスの学生の時に知り合ったようです。
これほどゲルギエフはオセチアに関係が深いのですが、今回の演奏会は少し気になります。ゲルギエフがあまりにも「プーチン」寄りの政治姿勢を明確に表し過ぎていると思えるからです。現在の大国ロシアといえば、資源・軍事力に加えて「マリインスキー歌劇場」を筆頭に大活躍している音楽家が大きな武器になっていると思います。指揮者のゲルギエフ、歌手ではネトレプコ、ホロストフスキーなど世界中で引っ張りだこになっています。このような芸術家はできれば政治色を前に出さないで欲しいと思います。
かつてのムラビンスキー・レニングラードはソ連の体制化において独自の立場を築き世界に例を見ない崇高な音楽を作り出していました。もともと貴族出身のムラビンスキーが共産主義体制化で生き残れたのは、政治との付き合いを上手くこなしていたからです。体制にべったりだと音楽が堕落してしまったでしょうし、体制に真正面から反抗したら「命」がなかったでしょう。そうした緊張が深い洞察を生んでいたのではないでしょうか。
08月30日(土)
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