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Kenの日記
by Ken
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■マタイ受難曲
2008年の復活祭の日取りは以下の通りです。

3月20日(木):最後の晩餐
3月21日(金):イエスの受難
3月22日(土):復活Eve
3月23日(日):復活祭

ということですが、今日は「さいたま芸術劇場音楽ホール」でバッハコレギウムジャパンの演奏による「マタイ受難曲」を聞いてきました。バッハコレギウムジャパンの「マタイ」は今日のさいたま公演が初日で、明日は東京オペラシティタケミツメモリアル、土曜日は大阪のシンフォニーホールです。さいたま公演は他の会場に比べて規模が小さいのが魅力でした。一昨年所沢ミューズの大ホールで聞きましたが、会場が少し大き過ぎたように思えていたので、正直今日は当たりでした。

記録のために演奏者を紹介しておきます。

指揮:鈴木雅明・・・今日も素晴らしい演奏を聞かせていただきました。オルガンチェンバロの名手でもあるからでしょうか、最後まで舞台上のオルガンのチューニングを続いていました。またチェンバロも非常に優雅な音がしました。

ソプラノ:ハナ・ブラシコヴァ(チェコ出身)・・・透明感があってよく通る声でした。ドイツ語をはっきり発音するので聞き取り易かったです。まだ若いようなので楽しみなソプラノです。少し痩せすぎな感じもしますが。

ソプラノ:藤崎美苗・・・最初は少し硬かった感じです(冒頭の賛美歌)。後半のピラトの妻役では落ち着いた歌を聞かせてくれました。少し暗めの声で高貴な感じが良いですね。相変わらず美しくスタイルも抜群。オペラに出れば人気がでると思います。ミミなんか似合いそうです。

アルト:ダミヤン・ギヨン(フランス)・・・カウンターテナーです。少し太いアルトです。声が出たり引っ込んだりするのが気になりました。少し神経質な歌い方なのでしょうか。

アルト:上杉清仁・・・一昨年も同じ役を聞きました。印象は前回とほぼ同じ。丁寧な歌い振りに好感が持てました。

エバンゲリスト:ヤン・コボウ(ドイツ)・・・本日大活躍でした。思い入れタップリの福音史家。エバンゲリストの台詞が終わっても、合唱に参加してテノールをしっかり歌っていました。「イエスの死」への緊張感の盛り上げは大したものだと思いました。拍手。

イエス:マルクス・フライク(バス)・・・非常にドイツ語の美しい方でした。高貴な感じのするイエスだったと思います。

ユダ・ぺテロ・ピラト等:ドミニク・ヴェルナー(ドイツ)・・・非常に声に深みのある人でドイツ語の発音も本場ものでした。前半ではユダとして、イエス逮捕の合図となる「ごきげんよう。先生」という台詞、後半ではイエスの取調べ中に「私はそんな人は知らない」という台詞を意味深長に歌ってくれました。こういう簡単なドイツ語を思い入れ深く歌ってくれると聴衆は喜びます。終演後に大きな拍手を受けていました。

チェロ:鈴木秀美(第一グループ)・・・常に安定したテクニックでレチタティーヴォを引っ張っていました。ボーイングも非常に美しいのです。良い音がするはずですね。今日は会場が狭かったのでピチカートも非常に魅力的に聞こえました。


バッハコレギウムの合唱の方はもう何回も「マタイ」歌っているはずなのに、いつも新鮮な感動を持って歌っているのです。ドイツ語の歌詞の意味を十二分に把握し、マタイ福音書をはじめ聖書をキチンと理解し、何よりもイエスを深く慕っているのでしょう。ただしそれが宗教なのかというと少し違うと思います。イエスの受難がバッハの音楽を通してより崇高な物になっているからなのだと思います。かつてイエスという人がいて、そのイエスの受難を弟子のマタイが記録し、それが聖書として伝えられ、バッハがそれに音楽をつけ、バッハコレギウムが演奏し、その演奏を聴衆が聞いたということです。演奏者は聴衆よりもずっと感動していたのだと思います。


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03月20日(木)
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