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Kenの日記
by Ken
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■新国立劇場、オペラ・バレエガラ公演
初台の新国立劇場が完成してから今年で10周年だそうです。東京オペラシティはNTT都市開発が手がけたものでNTTグループが入居しています。隣りがNTT東日本の本社。私も10年前にはオペラシティビルで勤務していたことがあります。そこに本格的に日本初のオペラハウスができたのでした。そこを利用しての日本のオペラ活動が10年間続いたのですが、今日は10周年記念で10年間の成果を披露することになったのでした。

最初に「マイスター・ジンガー前奏曲」で祝典のムードを盛り上げようと言う趣向でした。演奏は「渡辺一正」指揮の「東フィル」。オペラ・バレエの伴奏の「場数」にかけては日本一のオーケストラです。しかし残念ながら観客をわくわくさせる前奏曲ではありませんでした。アンサンブルが雑で祝典を寿ぐ気持ちが伝わってこないのです。バレリーナと歌手達、合唱団の祝典で、オケピットのオーケストラにとっては何時も通りの伴奏なのでしょうか。10年間のオーケストラの進歩はなかったのかしら。(NHK交響楽団80周年の本を思い出しました。)(追伸:弦セレ、アリア伴奏では好演していたと思います)

前半はバレエです。「チャイコの弦セレ」に「パトリシア・二アリー」さんの振り付けです。まずびっくりしたのが踊る人達の「スタイルの良さ」です。日本人もここまできたかという感慨ひとしおです。スタイルが良くて動きも洗練されていて見ていて本当に綺麗でした。「新国立バレエ団ソリスト」というステイタスが彼女・彼等に非常に良いものを与えたようです。これこそ10年間の成果だと思いました。振り付けは非常に「動き」を重視したものでした。舞台狭しと動き回る演出は少しうるさく感じました。

後半はオペラコンサート。今日の目的は「大村博美」さんを聞くことでした。大村さんの素晴らしさを知ったのは、今年の新春オペラガラコンサートでした。そのあと「ドン・カルロ」の王女役をテレビでみました。新国立では2004年に「蝶々婦人」を歌い脚光をあびたのだそうです。今年の8月に東京でコンサートを開いたのですがそれは聞くとことが出来ませんでした。今日は道化師から「鳥の歌」、蝶々婦人から「ある晴れた日に」、そしてアンコールで「乾杯の歌」を歌われました。

新国立劇場のホームページより

「大村」さんの歌は期待していたとおりの素晴らしいものでした。東京オペラハウスが10年間様々な公演をおこなってきて、様々な日本人歌手を登場させてきましたが、とうとう海外にも通ずる本格的な歌手として「大村博美」さんを見出したということです。これは本当に大きな成果だと思います。大村さんの魅力はしっかりした身体をベースに自然な発声法でうたうので、とにかく歌に力があること、そして「役柄」を少し控えめに、しかしとても丁寧に表現されることだと思います。それはあくまでも「歌」で勝負できるからこそできるのだと思います。西洋人とは違った日本人的に恵まれた容姿も大きな魅力です。蝶々さんはほんとうに素晴らしいものでした。最後の場面だけでしたが日本人の若い女性の「蝶々さん」が非常にしっかり表現されていました。「大村さん」が考える「蝶々さん」の人間をはっきり理解することができました。ガラコンサートでは演出家のうるさい「指示」がないので、本人の自由に歌えるからかもしれませんね。

他の出演ではテノールの「アルベルト・クピード」、アルトの「エレナ・ツィトコーワ」が安定した歌を聞かせてくれました。リゴレットから「美しい乙女よ」の4重唱を歌った「中村恵理さん、渡辺敦子さん、村上公太さん、町英和さん」も良く揃った歌で非常に好演していました。テノールでは「秋山雅史さん」が大変な人気になっていますが、残念ながらしっかりした外国にも通用するテノールは見出せなかったというのが実情でしょうか。

実は昨日からスリランカ交響楽団のメンバーが来日しています。オペラシティから帰り道、宿泊先の京王プラザホテルに寄って来ました。夜遅かったのですがメンバーはホテルには戻っていなかったのでフロントにメッセージを残して帰ってきました。彼等のコンサートは4日です。
10月02日(火)
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