ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■嫁誕。
ちょっと前の日曜日、嫁の誕生日であった。
ささやかながらお祝いをしようと思い、ホテルのビュッフェで食事でもどうだい、と嫁に提案したところ、それならば東京ドームホテルのレストランに一度行ってみたいというので予約をした。
で、当日。ビュッフェに備え、家族全員出来るだけ少食にして腹を減らす。で、牙一族並みのハングリーさになったところでレッツラゴー。行く直前に興奮したわけでもないだろうが息子・タク(小5)が謎の鼻血ブーをぶちかますというアクシデントがあったりもした。
春日方面から東京ドームホテルまで歩く。途中、東京ドームの脇を歩いていると道を挟んで向こう側の東京ドームシティアトラクションズの遊園地エリアから
「うりゃ!おい!うりゃ!おい!」
大人数の男たちのすさまじい罵声が響きまくっていた。僕は知っている。これはアイドルオタクの叫び声だ。野外ライブでもやっているのだろう。
「ねえ、何やってるのかな?」
娘・R(中二)が何やら知りたそうだったので検索してみると、どうやら乃木坂46が来ているらしい。そう告げると
「えー!乃木坂!観たい!観たい!」
Rがものすごい食らい付いてきた。そんなに好きだったっけ?でもそろそろ予約時間だし…と渋っていると
「とにかく見せて!」
僕のスマホをひったくってしまった。そして2秒ほど画面を見ていたが、
「なんだ、三期生か。じゃあいいや」
急に冷静になってスタスタと歩き出した。僕もスマホを見直してみると確かに「乃木坂46」の後に「三期生」と書いてあり、Rによると乃木坂は乃木坂でも三期生には有名な子はいないので別にいい、とのことであった。R、絵に描いた様な掌返しで結構ドライな性格をしていることよ。
それでもファンが多そうな三期生。ライブが終わった後は握手会もするんだろうか。ここは東京ドームシティ。なんとかレンジャーのヒーローが出て来て
「東京ドームシティアトラクションズで、僕と握手!」
というセリフをキメることでおなじみのCM。その場所がまさにここなのである。僕が子供の頃は
「後楽園遊園地で僕と握手!」
だった。時代と共に名前も変わる。握手する相手も変わって、ヒーローじゃなくてアイドルとも握手、というのが今の時代を反映しているかもしれない。してないかもしれない。
さて、東京ドームを通り過ぎてホテルに到着。エントランスを通り、レストランの受付で名前を告げると席に案内された。よっこいしょういち、と席に着くとどうもタクの顔色が悪く、フラフラして元気がない。
「大丈夫かい。鼻血のせいか?」
と様子をうかがったら
「鼻血だけじゃなくてずっとDSやってるからよっ!あんた朝からずっとやってるでしょ!そんな小さな画面一日中睨んでりゃそうなるよ!取り上げるよ!」
嫁の怒りがバーニングになってしまった。あああ、のび太のママじゃないんだから、こんなところでガミガミしなくてもいいじゃないか。
「まあまあ、食べれば元気も出るだろうさ」
なんとかお祝いムードを立て直すべく、料理を取りに行くことにする。ビュッフェにおいて最初にどんな料理があるか物色し、目移りしながら盛り付けることは幸せである。ようやくみんなも和やかな雰囲気になった。

テーブルに並べてお誕生日おめでとう!と乾杯して宴の開始。
「ンマーイ!」
まんが道風に食べまくっていると、僕らより前に来ていたほかのお客さんの席に花火が刺さったケーキが運ばれて来て、
「ハッピーバースデートゥーユー♪」
店員さん達がバースデーソングを歌っているではないか。誕生日のお祝いに来たのはウチだけではなかった。なかったどころか
「ハッピーバースデートゥーユー♪」
「ハッピーバースデートゥーユー♪」
15分おきぐらいに、店員さん達があちこちバースデーケーキを持って出撃していて、むしろほぼみんな誕生日絡みで来ている人たちばかりであった。
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06月16日(金)
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