ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■息子ポケモン親バカモン。
息子・タク(9才)が

「ねえ、今度のポケモンカード大会はいつやるの」

と聞いてきた。最近はクリスマスプレゼントに買ってやった妖怪ウォッチのゲームに夢中だったので、ポケモンカードは既に飽きたろうと思っていたが考えが甘かった。

カードゲームは金とヒマの両方がないとダメなのである。カードは次から次へと新種が発売されて、どんどん強いのが出てくるのでこないだまで強かったカードがカミクズになるのでいちいち買い足さなければいけない。しかし160円ぐらいで5枚入っているカードパックの中身はランダムなので、何十パック買ったところで欲しいカードが手に入る保証はどこにもない。ほとんどがゴミのような役に立たないカードであり、有用なのはほんの数種類なので性質が悪い。

お目当てのカードを確実に買うためにはカードを売ったり買ったりできるカードショップもあるのだが、強いカードはプレミアが付いていて高い。そしてそういったカードたちのうちどれとどれを、またどれを何枚入れるか…などと戦略を練らなくてはならない。こうしてカードバトルで定められた60枚のデッキ(カードバトルのために組み立てられたカードセット)を作るのにえらい金と手間がかかってしまうのである。

カードバトルをやっている子供達はたくさんいるが、強い子はほぼ親もドはまりしている。僕は全く面白いとは思わないのではまる気はない。DSのソフト1本買い与えた方がよほど楽である。

現状、タクは4ヶ月ほど妖怪ウォッチにはまっていてカードは全くやっていない。その間にカードの環境は全く変わってきてしまって浦島太郎に近い。相手は最新の戦闘機で攻撃してくるのに対し、タクは未だウホウホ石をぶん投げる程度なのである。

「5月に大会があるみたいだけど…お前なにもカードいじってないじゃん。このままじゃタク、勝てないよ。行っても意味ないよ」

と厳しく言ったら枕に涙を濡らしつつシクシクといじけてしまった。口で言っても分からないみたいなので

「じゃあ土曜日に近所のおもちゃ屋でカードバトルイベントがあるけど行くか?小学生以下限定のイベントだって」

「行く」

「でもまず勝てると思うなよ。今みんながどんなデッキを使っているか、それを見るために行くんだ」

僕の言葉なんかよりよほど残酷にズタボロにされるであろう、と言い聞かせて行くことにした。

で、土曜日のイベントの時間に合わせ、おもちゃ屋に行ってみた。なんとすんごい人だかりである。子供が20人ぐらいいるであろうか。そしてその親達。

「あ、どーもー。おーたっくんたちもいた」

近所のポケモン友達親子も来た。この親子は結構ガチでやっているので強い。

「すごい人がいますね」

と挨拶すると

「今日のバトルで勝つと5月の大会の予選を有利に抜けられる権利がもらえるんですよ」

「なるほど」

「あそこにいる女の子は世界4位です」

「はー?」

世界4位の子がわざわざこんな練馬の小汚いおもちゃ屋に来るとは、どんだけその権利とやらが有用なのだろうか。

とにかくタクも参加の受付をし、参加者が揃ったところでおもちゃ屋のオッサンがトーナメント表を発表し、タクは会場の中に入って行った。会場といってもおもちゃ屋の店の奥にあるめちゃくちゃ狭い部屋である。10人も入ればいっぱいになってしまうので、窓から覗いてみたらタクと目が合った。

よ、と手を上げるとタクはチッと舌打ちをして

「見るな!」

シッシッと追い払うではないか!うわーん。

「我が家では 子供ポケモン 親ノケモン」

を地でやられてしまったよー!貴重な土曜の休日の半分をつぶして子供に付き合わされた挙句、ゲームが始まったら用無しにされ、場末のおもちゃ屋の脇の路地裏で時間をつぶしている僕。まったくもってクソだ。こんなクソなカードゲームにいったい何の価値があろうというのか!


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03月24日(火)
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