ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■ふりそでーしょん。
「としまえんの年間パス更新する?」
と嫁が聞いてきた。もう何年もの間、家族でとしまえんの年間パスポートを購入し、夏はプール、冬はスケート、その他の季節も遊園地のアトラクション、といった感じで何十回と利用してきた。
ここ1〜2年はさすがに飽きてきて利用回数が激減していたので
「もう更新しなくてもいいんじゃね?」
ということになった。今のパスポートはもうすぐ期限が切れるので、じゃあ最後に…と娘・R(11才)と息子・タク(9才)を連れてスケートをしに行くことにした。嫁は午前中仕事のため不参加である。
「じゃ、チャリで行くぜ」
3人連なってチャリでレッツラゴーすると、としまえんに近づくにつれ道路が渋滞しているではないか。道路を横断しようとしても横断歩道に車が止まっていてギッチギチだ。
「パパ、車がすごくて渡れないよーなんでー?」
とRが言う。僕は思い出した。
「あ、そうだ。今日は成人式だ」
「そっか!」
練馬区民の成人式はとしまえんで行なわれるのだ。よく浦安市のディズニーランド成人式と比較され、練馬はショボいとネタにされることがあるが、遊園地というハレの場があるだけ羨ましい。練馬区に生まれ育った新成人ならば一度ぐらいはとしまえんに来たことはあるはずで、懐かしい場所で懐かしい旧友達と再会できるなんて楽しくないはずがない。

…などと考えながら到着したらホントに楽しくてしょうがないらしくて、としまえんのゲート前からとにかくうるさい。振袖姿やら紋付袴やらの新成人でごった返していた。そこらじゅうで「ウェーイ!!」とかやってたり、袴姿のままで鉄柱に登ってる馬鹿もいた。勿論こういうのはごく一部なのは分かっているのだけれども、目立っているのでどうしても目に付いてしまう。

「ねりマネー」なる金券で飲み食いできるらしい。おっさんにもくれ、ねりマネー。
「Rはあと8年、タクはあと10年で成人式だけど、頼むからああはならないでね」
とか懇願しながらスケート場に行こうとすると
「まずお昼ごはん食べたい」
着いたのがちょうど昼時だったのでタクが腹減ったと言う。なのでスケートの前に腹ごしらえすることにした。同じものを食べてもタクは早く、Rは遅いので
「Rちゃんが食べ終わるまでちょっと乗り物乗ってくる!」
タクはすっ飛んで行ってしまった。慣れているのでどこに何のアトラクションがあるのか把握しているのだ。昔は迷子になって大騒ぎしたもんだが思えば長い間通い続けたものである。それももう最後となると…と感慨深くなった。
そして通い続けたとはいえ絶対に入ろうとしなかった場所がふたつある。「おばけ屋敷」と「ミステリーゾーン」(ライド型お化け屋敷)である。「ミステリーゾーン」にはRが一度入ったことがあるが、ずーっと僕に抱きついて僕の胸に顔をうずめて絶対何も見ないままだった。いつかはおばけ屋敷に…と思っていたがそれも叶わなくなったなあ…とこれも感慨深くなった。
Rが食べ終わるのとタクが戻るのを待っていると嫁から電話がかかってきた。
「どこにいるの?スケート場で探してるんだけど見つからないし!」
「え、来たの?」
嫁はわざわざ仕事を終えて追いかけて来たという。
「子供たちがスケートの前にゴハン食べたいって言うからさー。ミラーハウスの前の席で食べてるよ」
と伝えるとすぐさま嫁がツカツカとやって来た。子供達のスケートをするさまを見るのと、
「え、ばくだん焼きだれも食べてないの?私食べたいのに」

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01月14日(水)
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