ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
[5183102hit]
■おしょうがII。
大晦日、既に栃木に帰省中の僕と娘・R(11才)、そして息子・タク(9才)に加え、嫁が遅れてやって来た。やって来て早々
「あなたの窓ガラス掃除、70点!」
僕が帰省前に大掃除した窓ガラスにダメ出しする嫁。去年はダメ出しされなかったのに…、あ、今年はパソコン買い換えてWINDOWS70にしたからかな。なんちて。せっかくやったのにダメ出しされるとやる気がなくなるものである。ダメ出しより○出しの方がやる気が出るものである。なんちて。
大晦日の夜は紅白歌合戦を観る。僕はPerfumeときゃりーぱみゅぱみゅ目当てであり、子供達はそれに加えて妖怪ウォッチ関連が観れれば充分であるはずなので、きゃりぱみゅが終わったあたりで
「さ、寝ようか」
と子供達を寝かそうとしたのだけれども
「やだ、来年になるまで起きてる」
と言って聞かない。そうだよねー。子供の頃って大晦日に年が明けるまで起きてるっていうだけでワクワクだよねー。
ワクワクはいいんだけど睡魔はやはり強敵で、Rは紅白の終盤、ほぼ夢の世界に入っていた。ついでに僕も。気付いたら「ゆく年くる年」になっていた。いやーん。ゆくイヤーん来るイヤーん。
「なんか真言宗系の寺からの中継が多くね?」
「高野山1200周年なんだって」
「へー」
などと嫁と話す。天台宗系だったら「今夜は最澄!」とか今年最後のダジャレをかませたのに。「なんか空海?」と言おうとしたがもう歯を磨いた後だしなあ…。やがて近隣のいくつかの寺の鐘の音が響きはじめ、年が明けた。
「あけましておめでとうございます…」
ひとととおりの挨拶を家族でして、速攻で寝る。閉めましてさようなら。というのも初日の出を見るために早起きしなければならないのである。紅白で夜更かしして日の出前に起きられるのか…一抹の不安を覚えながら眠りの世界へ…。
5時半。僕は何とか起きることが出来た。他のみんなも…。いや、タクだけはなかなか起きられずにいた。
「タク、起きろ」
「うーん…」
「寝ててもいいけど、初日の出を逃すと今年一年ずっと後悔するぞー」
そんな風にじわりと脅すとようやく起きてきた。もそもそと着替えて弟に車を運転してもらってレッツラゴー。初日の出を拝む場所は、山の中腹にある公園である。

夜明け前の空。メチャクチャ寒いがボランティアの人達が豚汁や甘酒を振る舞ってくれていてありがたい。日の出の時間が近づくにつれ、人も増えてくる。

ここから東の空を眺めると、関東平野の中にぽつんとそびえる「M」の字に似た二つの頂きがある筑波山が見える。
「初日の出はこの筑波山の左側から出てくるんだぜ」
子供の頃から筑波山と初日の出の姿を見ていた僕はよく憶えているのでドヤ顔で解説していたら…

右から出て来た。もんげー。ともあれ、神々しい光に手を合わせる僕ら。
「ポケモンカード!ポケモンカード!ポケモンカード!」
タクだけが流れ星を見た時と混同して願い事を呟いていた。多少水平線上に雲があったものの
「いやー見れてよかったねえ」
とワイワイ話す。周りの人達も同じようなことを話していて…っておっと、テレビカメラが来ていて家族連れにインタビューしているではないか。ミーハーな僕はRに
「Rちゃん、僕らもインタビューされるようにさりげなくカメラの近くをうろつく作戦開始だ」
と誘ったのだが
「別にいいよ。どうせケーブルテレビでしょ」
うわー。夜明け前の空気よりクールだよRちゃん…。確かに地元のケーブルテレビの取材なんだけど、いつからこんな生意気なこと言うようになっちゃったんでしょ…。
ケーブルなのに有線順位が低いでしょう。なんちて。
[5]続きを読む
01月06日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る