ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■兄は夜更け過ぎにユキエに変わるだろう。
12月24日の朝、子供達が
「サンタさん来るかな」
などとはしゃぎながらなかなか学校へ行く準備をしない。娘・R(11才)と息子・タク(9才)は未だにサンタの存在を信じているのだ。
「オラー!とっととやることやらないとサンタにチクッてクリスマスプレゼントはダンゴムシ2匹ずつにしてもらうぞ」
「やだー!」
浮かれ気分でロックンロールのふたりを叱りつつ出勤した朝であった。
で、夜。わりと遅く帰ってヘロヘロになっていたので、プレゼントのことなどぽっくり忘れていてとっとと寝ようと思っていたら
「クリスマスプレゼントにこの手紙を入れてほしいんだけど」
と嫁から言われたので思い出した。危ない。ほんっとに危なかった。子供達の枕元にプレゼントを置かないまま寝てしまったら子供達と嫁から一生恨まれるところであった。
何しろプレゼントを隠してある場所は子供達は勿論嫁にも分からない秘密の場所であったからだ。すなわちエロDVDの保管場所と一緒である。
「あー、危なかった…脂汗出ちゃったよ…」
ホッと胸をなでおろしていると
「あの、手紙」
「あんだって?」
今度は嫁から言われたことをぽっくり忘れていたのでほとんど病気じゃないかと思う。
「何を書いたの?見ていい?」
かわいい封筒に入った手紙を開いてみると…
「メリークリスマス!
パパト ママノ イウコトヲ ヨクキクンダヨ
サンタヨリ」
何故か「チチキトクスグカエレ」的な、全文カタカナの電報チックな文面であった。
「…何これ」
「サンタからの手紙です」
そうだった。嫁はこういう小ネタを挟むのが好きなのであった。以前、十五夜の時に月見団子を子供達と作り、
「お月様が見えるところにお団子を置いておこうね。うさぎさん、どうぞ食べてください、ってお手紙も書こうね」
と言って窓際にお団子を置き、子供達が書いた手紙も添える…ということをよくやっていた。で、子供達が寝た後で嫁が
「おだんごありがとう!おいしかったよ! うさぎより」
みたいな返事をそっと置いておくんである。結構手の込んだネタだなあと眺めていたのだが、翌朝に手紙を読んだ子友達が
「これってママの字だよね」
速攻で見破らてしまい
「何言ってるの、全然違うじゃない。ウサギが来たんだよ。ママ夜中にちょっと目が覚めたんだけど、耳が長いなんかの影がウチに入って来たの見たよ」
とか必死にごまかしていたものである。アイディアは非常に夢があっていいんだけど、やり方がアバウト過ぎなんである。今回はカタカナオンリーにして、筆跡がばれないようにしているようだけれども…。
「これもばれそうじゃない?」
「そお?大丈夫だよ」
あまり嫁のやることに水を差すのもどうかと思い、そっとラッピングの中にしまいこんで、子供達の枕元に置いて寝た。
「いやっほー!」
というRとタクの歓声に叩き起こされたのはまだ陽が昇っていない暗い時であった。腕時計を見ると朝5時半。勘弁してくれよ…と寝なおそうとしたら
「パパ!見て見て!サンタ来たよ!やったー!」
「うるせー!寝かせろ!」
そもそもなんで僕が手間暇かけて用意したプレゼントなのに、サンタとかいう見たこともないどっかのオッサンにおいしいところを全部もってかれるようなストーリーを子供達に信じさせているのだろうか…。
寝不足なのに叩き起こされると心がささくれ立ってくるものである。
サンタあの子のなんなのさ。
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12月28日(日)
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