ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■不審父兄。
息子・タク(8才)の授業を見ていた僕は、娘・R(10才)の授業も見ておこうかと思った。
「こないで」
と言われていたのであるが、前回の授業参観の時もそう言われたけれども、実際そーっと覗いてみたら手を振ってくれたので、今回もなんとかなるかなー、と、わりと楽観視してRの教室に移動した。
まだ休み時間なのでRの姿はない。校庭に遊びにだろうか、と、探していると
「こないでって言ったのにー」
後ろから走ってきたRにどーんとタックルをかまされた。ツンデレっぽくてちょっと嬉しい。Rのクラスには、Rと幼稚園の時から同級生の子が何人もいる。そのうちのひとりがやたらと背が高くなっているので、
「たかしくーん、また背ぇ伸びたねー。夏休み終わったころにはおじさん抜かされちゃうかもねウヒョヒョ」
見下ろすことが出来るうちに頭撫でとけ、となでなでしていたところ、
「Rちゃんパパー!たかしよりオレの方が高いぜ!」
右方向からヨシダくんがすっ飛んできて吹っ飛ばされそうになった。
「おお、君も伸びたなあ…」
と感心していたら
「Rちゃんパパー!ヨシダよりアタシの方が高いの!」
今度は左からマミちゃんが突っ込んできた。ちっちゃい頃から美形だったが、なるほど既にアイドルで通じるぐらいすらっとした美少女になってしまっている。
「3人とも、Rに5センチずつぐらいくれない?」
Rに聞こえないようにヒソヒソと冗談を言い合っていたら、そのうちみんながゾロゾロと何処かに行く気配。
「どこ行くの?」
「音楽室。音楽の授業だから」
「え!」
音楽の授業。それは特別な意味を持つ。その意味とは、音楽の授業は担任の先生ではなく、すごい美人の音楽教師が受け持っている、ということだ。仮に彼女をドラミちゃんと呼ぼうか。音楽だけに。
ドラミちゃんのことは子を持つオヤジ達の間でも超有名で、特に僕らおっさんソフトボールチームでは大人気。そのせいで去年の授業参観の日、ソフトボールオヤジ達が音楽室に殺到し、お母さん方やほかの先生方から顰蹙を買い、
「オレが代表して言われちゃうんだから、勘弁してよ!」
とPTA会長にも言われてしまったものである。僕は一応Rの授業だったから大義名分があったけれども、自分の子供もいないくせにドラミちゃん目当てで来たおっさんは、1年経った今でも飲み会になるとネタにされてからかわれている。
他にもある。去年の盆踊り大会の時、僕らおっさんソフトボールチームが会場のパトロールをしていたらドラミちゃんが来たため、おっさんみんなでがっついて、何故か知らんが握手会になってしまい、お母さん方の顰蹙を買ってしまったこともあった。
そんなわけでドラミちゃんへのガッツキ禁止を言い渡されているおっさんソフトボールメンバーのひとりであるため、次がドラミちゃんの授業だと聞いてちょっと身構えてしまった引いてしまった。
僕としては時間割りもろくに見ずに、タクの授業のついでに見に来ただけなので、次がドラミちゃんの授業だというのは本当に偶然である。しかし周りはそうは見ないだろうなあ…。PTA会長も来てるし、他のお母さんの目もあるし
「絶対狙って来てるよね」
と指を差されるに決まっているのだ。いや、他のお母さんの目はなかった!見回すと、父兄は僕しかいなかった!音楽室で、ドラミちゃんとサシというのは(子供たちはいるけれども)、さすがにファンの僕でもちょっとヘビーだね…。ドラミちゃんもドン引きするだろうよ…。どんだけ必死なんだって…。
というわけで、Rの言いつけどおり、Rの授業は見ないことにして、タクの教室に戻ったのであった。
「おらタク、ちゃんと髪の毛拭けよ…」
プールから上がってろくに頭を拭いていないタクを注意しつつも、心は音楽室に。ドラミちゃん、プールの授業やらないのかな(懲りないオヤジ)
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07月16日(水)
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