ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■息子ポケモン父ノケモン。
仕事中、嫁からメールが来たので見てみると
「あしたポケモンセンターにつれてって たく」
息子・タク(8才)が打ったと思われる文面であった。そういえばポケモンセンターでカードバトルのイベントがあるとか言っていたのを思い出した。
タクはポケモンカードが好きで、なけなしの小遣いから買ったり栃木の僕の母を攻略して買わせたりして集めている。
「ボクの最強デッキはこれだー!」
とか叫びながらカードを選りすぐっていたし、よほど行きたいのだろう。
翌朝、
「パパ、行くんだぜ」
早々にタクに叩き起こされ、浜松町にあるポケモンセンターに向かう。
「さんかする人が多すぎて出来ないかもしれないから早く行くんだ!」
タクの気合が入りすぎて開店30分前に到着してしまった。ポケモンカードバトルは10:00〜10:50、11:00〜11:50…というように、1時間ごとに受付して、50分の時間内にチビッ子同士で対戦するものらしい。
開店時間が来るまでタクはワクワクしながら待っていた。既に僕らの前に来ている親子連れもいて、カードファイルを開いている子供のチラチラ覗いたりするタクを眺めながら、僕は不安であった。
タクは、ポケモンカードバトルは今まで仲良しの友達ひとりとしかやったことがない。ルールもどこまで把握しているか未知数だ。ひとりよがりのルールで相手を困らせたりしないか…見知らぬ子とちゃんと仲良くやりとり出来るのだろうか。
また、かなりの負けず嫌いなので、負けると泣いてブチ切れたりするので、もしよそさまの子の前でそんなことをやらかしたらすぐさま連れて帰るつもりだった。
やがて開店時間となり受付が始まった。タクが心配していたほどではないが結構な人数の参加者が集まり、会議室みたいな会場のテーブル席が埋まってゆく。保護者たちは端っこの観覧スペースに追いやられたので、我が子をボーっと見ている他ない。ヒマである。ただし、スタッフがみんなカワイイ女の子ばかりなので、それだけが救いだ。彼女たちはルール説明やチビッ子たちの取りまとめをテキパキとこなし、
「分からないことがあったらお姉さんに聞いてくださいねー」
などと呼びかけるので
「はーい、彼氏いますかー」
と聞きたかったんだけど、朝っぱらからそんな酔っ払いみたいなノリはキツかった。しかもわが子の前で、さすがに、それは。

超真剣勝負のタク。心配していたようなことはなく、和やかに相手の子とバトルしていて一安心した。50分の間に3回、相手を変えてバトルしたら終了で、お姉さんからポケモンカードが1枚入った袋をもらえてタク大喜び。

待ってる間、ホントにヒマ中だったよ…。
「3回のうち2回勝ったよ!」
相手にも勝てたことで上機嫌になっていた。
「次の回もやる?」
とお姉さんから聞かれると
「やりたい!」
即座に答えるのでまあいいか。やらせてやろう、と11:00〜の回にも参加。今度は1勝2敗で負け越してしまったらしく、
「もう一回やりたい!」
悔しさを滲ませていた。サクッとやらせてサクッと帰るつもりだったんだけどなあ…いつまで経ってもキリがないと思い帰ろうとしたら、タクが涙を流して
「やだ!」
足から根が生えたように動かない。まあ、お友達の前ではあくまでフレンドリーな態度で、いじけなかったところは褒めてやろう。そこは成長した。だから、まあ、もう一回だけやらせてやろうかなと。そしたらお姉さんが
「ごめんねー。次の回はもういっぱいなんだよー。次の次は1時からね」
1時間待たなければならないという。それでもいい、とタクはパッと顔が明るくなり
「ちょうどいいよ、ゴハン食べようよ」
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02月15日(土)
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