ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■だん吉。
遅ればせながら初詣に行った。

天神様の神社なので牛の象「撫で牛」があった。自分の体の具合の悪い部分を撫でた後、その牛の体の同じ部分を撫でると病気が治る、という。僕は何度も自分の顔と牛の顔を撫でまくったが、一向にイケメンにならなかった。JAROに訴えてやる。

「ほら、君らもやってみな」

と、子供達にもやるように言ってみたら息子・タク(8才)はすぐさま尻尾を撫でていた。サイヤ人かお前は。

家族で厳かにお参りを済まして帰ろうとすると、

「おみくじやりたい」

とタクが言う。絶対大吉を出してやるんだ!と意気込んでいる。この子はポケモンカードでスーパーレアを出してやるとか、ガチャガチャでシークレットを当てたいとか、山っ気がありすぎる。

初めの頃はしょうがねえなあ、とやらせてやったこともあったが、そううまくは当たらないものでハズレをひいてしまうと、怒ってふて腐れてしまうのだ。

こっちとしてや金は出させられるわ八つ当たりされるわでふざけんな!と大変不愉快になり、以後やるなら自分の小遣いでやれ、パパは絶対お断りだ、と言っているのだが、このおみくじやりたいっていうのも

「大吉じゃなきゃまたいじけるんだろ?おみくじはそういうもんじゃないんだよ…」

そう説教して帰ろうかと思ったが、嫁が許可してしまった。しょうがないので買いに行くと、なんど、キレイな巫女さんがいるではないか。はらったまっきよったまっはらったまっきよったまっと僕は大興奮。巫女さんは

「当神社のおみくじは、大吉、中吉、吉、小吉、末吉がございます」

と説明してくれた。凶はないようである。そんなわけでタクと、タクだけじゃ可愛そうだから娘・R(10才)も、ということでふたりがおみくじをひくと、

「あっ中吉!」

Rは嬉しそうである。中身もいいことが書いてある。そしてタクは

「…吉」

残念ながら大吉ではなかった。案の定目に見えて不機嫌なタク。

「ほらほら、大吉じゃないけど3番目にいいヤツじゃん。けっこういいことも書いてあるよ?健康も勉強も調子がいいよってさ」

そう慰めるのだけれども、

「Rちゃんに負けた…」

大吉じゃなかったことプラスRより下だったことが更に悔しいらしい。

「おみくじは別に勝負じゃないんだよ。どんな内容でもよく読んで自分に言い聞かせることが大切だよ…」

しばらく僕や嫁も読んだり、内容をRとタクに説明したりしたが、

「結んでいくかい?結んでいくと、おみくじにある悪い内容を防ぐようにしてくれるんだってさ」

そう言うと、タクは仏頂面のまま結ぶ、と答えて自分で折って結んだ。

「Rはね、持って帰るの」

Rは中吉が気に入ったようでニコニコと大事に大事に折り畳んだ。で、僕は…というと、あんまり引いてみようという気にはならなかった。

僕が好きなのは中吉でもなく大吉でもなく、諭吉だからである。

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01月15日(水)
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