ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■川越名物…も食べられずに。
土曜日の朝のことじゃった。

子供達を引き連れてとしまえんのプールに行く予定だったのだけれども、すっかり冷たい空気になっていて、もう夏はとっくに過ぎ去った感でいっぱいであった。

「どうする?これじゃ行っても寒いよ…」

翌日の土曜日は、僕は休みだが嫁は仕事に行くことになっていたので、娘・R(10才)と息子・タク(7才)の子守りを頼まれた。

「どうする?としプー(としまえんプール)にでも行くかい?」

「うーん」

娘・R(10才)と息子・タク(7才)もテンションが低くなってしまって、何をしたいか、どこに行きたいか、希望がなくなってしまったようだ。それなら僕に行きたいところがある。

「じゃあパパが行くところに付き合え」

「どこに?」

「川越」

ということで川越に行くことにした。

実は僕は「ケータイ国盗り合戦」という携帯のゲームをやっていて、このゲームと西武鉄道がコラボして、川越フリーきっぷという川越観光用のキップを買うと、

くにふだ
こういうカードがもらえるんである。カードの裏にはシリアルナンバーがあって、それを入力すると限定アイテムがもらえたりする。

川越はわりと近いし、「蔵の街」「小江戸」というアピールポイントが僕の地元・栃木と似ている。ただし栃木の街はしょぼく、川越の方が規模がでかいので一度行ってみたかったのだ。

「じゃあ決まりねー」

「うん」

ということで準備を始めたら、

「じゃああとはよろしく」

嫁が一足先に仕事に出かけるところであった。なんだか昭和チックなデザインのレトロなポロシャツを着ていたので

「なんだかボウリングの選手みたいだなあ…」

と思わず呟いたら

「そうだ!ボウリング行きたい!」

Rとタクが同時に叫んだ。

「え〜ボウリング?」

「そうだよ!なんで思い付かなかったんだ!ボクはボウリングをやりたいんだ!」

タクは我が意を得たりとばかりに飛び跳ねている。

「Rもやりたいー」

Rも同様。しまった、思いっきりヤブヘビになってしまった。しかしこの勢いを止めることはもう不可能だ。行かないとか言ったら暴動が起きるに違いない。

「分かった。ボウリングは行こう。但しパパが行きたいところも付き合ってくれ」

「はーい」

そんなわけで川越にレッツラゴー。電車で本川越駅に降りてからは巡回バスに乗って市内を巡る。ところが

「バスやだ!」

とふたりが騒ぎ出すではないか。よく聞くと、バスの中のニオイが大嫌いなのだという。普段バスには滅多に乗らないのでそういう話は聞いたことがなかった。

「うーん、パパもタクシーのニオイは時々吐きそうになるけど、バスは別になあ…」

「バスはやだ!タクシーのニオイの方がいい!」

バスがダメだからタクシーに乗ればいいじゃない、というマリーアントワネットばりの贅沢な言い草に僕は、

「ガマンして乗れ!」

頭に来て無理矢理乗せた。

「ねえまだー?」

ふたりは乗ってる間ずっと鼻をつまんでおり、変な子だと思われただろうなあ…。幸いバスは10分ほどで降り、

手裏剣
どーん。歴史博物館に立ち寄ってみた。この画像の手裏剣の他、縄文式土器から戦国時代の鎧兜や槍・刀、江戸時代の大名の家具などが展示されていて、Rとタクにはつまらないかな…と思ったが、結構興味を持ったようで

「これなに?」

よく質問して来たりして、食い付いて見ていた。タクなどは

「すげー!やっぱ忍者っていたの?」

と興奮し、メモ帳を取り出して、手裏剣の絵を描き始めたり。ちょうど「〜」みたいな形の手裏剣の絵は、太すぎてうんこにしか見えなかったが、純粋な好奇心・研究心旺盛な少年の心を穢してしまうので言わなかった。


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09月10日(火)
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