ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■出会ってから数十回目の誕生日。
朝、目が覚めると嫁の誕生日だった。
子供達の目もあるし、面と向かって
「おめでとう」
とはなかなか言えないもので。トゥー・シャイ・シャイボーイな僕はなんだか照れてしまう。だから夜、仕事から帰って来て子供達が寝た後、
「お誕生日おめでとうジュテーム」
耳元で熱い吐息と共に伝えよう、年の数ぶんのバラの花でも買ってくるか、自称10才だから10本でいいやケケケケ、とか妄想しつつ、普段通り出勤の準備をしていたら
「パパはどうしてママに『お誕生日おめでとう』って言わないの?」
息子・タク(7才)に猛烈に抗議された。いやほら僕、トゥー・シャイ・シャイ・ボーイだから、とはとても言えなかった。恥ずかしがってるオヤジなど気持ち悪いだけだ。こんな状況で言ったところでアホみたいだが、タクが「ボクが大正義」みたいなドヤ顔で言え言え言うので、
「おおお、お誕生日オメデトウ」
仕方ないのでキョドリながら嫁の前で言ったら
「息子に急かされて言われても…チッ」
案の定舌打ちされてしまった。いやいや、あなたの旦那さん、シャイだから取っ付きにくいけど、本当はいい人なんですよ。
「ボクはちゃんと言ったよね。ママ、おめでと」
親父を踏み台にして、ボクイイ子アピールをするタクは、満面の笑顔でいつもよりほっぺたがツヤツヤしていた。嫁も、
「たっくんは本当に肌がつやつやだねえ」
うんこを見ているような視線を僕から離し、一転してパッと笑みがこぼれさせていた。僕はもう一度、誕生日おめでとうと改めて言ったのだけれども、タクを笑顔で眺めるだけで、特にノーリアクションだった。
オメデトウと言ったらゼロカイトウだった、というお話でしたとさ。
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06月08日(土)
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