ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■たぬきのたからばこ。
仕事帰りの夜道。
家の前の道をトボトボと歩いていると、向こうからもトボトボとゆっくりした足取りで歩いてくる4本足の何かがいた。
薄暗かったので始めはネコに見えたのだけれども、そいつが僕の方をガン見してきたので
「ずいぶん野村監督に似たネコだなあ…」
変わったツラしたネコだな…と思ったのだが、1秒ほど考えて、それはネコじゃなくてタヌキだ、ということに気付いた時には既にすれ違っていて、慌てて振り返ると、タヌキはふさふさとした尻尾をフリフリしながら歩いている後ろ姿を僕に見せていた。
カメラ撮って子供達に見せよう、そーっと後を追いながらケータイを取り出したら、残念なことに建物と建物の間にすっと入って行ってしまった。
そこは狭くて暗い隙間で、ケータイのライトを照らしてみたのだけれども、もうどこにいるか分からない。タヌキはその先に行ってしまったに違いし、狭いとはいえ入れないこともないが、よそさまの敷地であるし、そこまでするにはさすがに躊躇した。
戻って来てくれないかなー、と未練がましく覗き込んでいたら、視界の左下隅にモゾモゾと動く物体が。なんだ?、と視線を下に移したら、なんとタヌキが僕の左足をかすめてトコトコと歩き、また建物の隙間に入っていったではないか!その歩き方はやっぱりゆっくりしていて、
「はいはい、ちょっとゴメンね」
って今にも言いそうな。全く人間を恐れているような感じはない。今のタヌキは僕が追っていたタヌキだったのだろうか?後を追っているつもりがいつの間に後ろを取られていた。僕の前を歩いていたタヌキは実は幻で、
「ふふ、今のは残像じゃ」
と化かされたような気持ちだ。タヌキならやりかねん。エクトプラズムを吐くタヌキの話は「地獄先生ぬ〜べ〜」にあったしな。
それとも別の2匹目のタヌキだったのだろうか。空を見上げるとまん丸に近い月が。童謡のとおり「つ、つ、月夜だみんな出てこいこいこい」という野外月夜レイヴが始まるところだったのかもしれない。
ウチに帰るとちょうど子供達がゴハンを食べていたので早速
「パパ、タヌキ見たんだぜー」
と言うと、案の定見事に食い付いてきた。
「写真みせて!」
息子・タク(7才)は当然写真ぐらい撮ってるんだろ、というデカイ態度でケータイを貸せ、と言ってきて、
「ない」
「なんでよー!」
このオヤジ使えないぐらいの勢いでDISられたので結構ショックだった。でも娘・R(9才)は
「おなかポンポコポンしてた?」
と目をキラキラさせてさせていた。この子は頭の中がいつもお花畑でちょっとアレなところがあるけれども、メルヘン全開で本当にカワイイ。身も蓋もない言い方をすると幼いんだろうけれども。
「はいはいはい、あたたはゴハン食べるんですか!」
僕の妨害により子供達のゴハンの進行が妨げられたことにイライラてるっぽい嫁が叫んできたので
「食べるー」
僕も腹鼓を打つことにしたのであった。
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05月25日(土)
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