ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■ハアハアの日。
日曜日の朝、嫁は学校の図書室のボランティアに出掛けていった。
いなくなった後、
「チミ達、母の日どうすんの?」
と娘・R(9才)と息子・タク(7才)に聞いてみると
「えっとねーチロルチョコ4個買ってママにあげる」
とのこと。
「なんで4個なん?4は縁起悪いから5個にすれば?」
「ダメ!4個!なの!」
チロルチョコひとつ20円。たかがそれぐらいと思えども、なけなしの小遣いから出す子供達には大きな差のようである。
「買いに行くからコンビニいこ!」
ということで僕も付き合うことに。
コンビニには5種類のチロルチョコが売っていたので、4個と言い張っていた子供達もどうしようと迷い、
「やっぱり5個買う〜」
ふたりでしばらく議論したのちそういうことになった。チロルチョコ5個入ったコンビニ袋をぶら下げて店を出る。こういうのは気持ちが大切だし、ちっちゃい子が少ないお小遣いから出すものだし、贈るモノのゴージャスさは問題ではないと思うのだが、あまりにもショボ過ぎに見えた。
ちょうど道の向こうから僕らのような父親と子供達がすれ違って行ったが、彼等は花束を持っていた。やっぱり小さくてもいいから花は欲しいよね、と思い
「花も買わない?パパも出してやるからさ」
と言ってみたところタクは
「えー。お金がもったいないよう」
ホントに母に感謝する気があんのか。
「多分あの花束はあそこの花屋だ」
と商店街の花屋を訪ねると、豪華絢爛な花束や鉢植えが並んでいて、どれも2千円とか3千円とか値札が書いており、
「ほら、だから高いじゃん、買えないよ」
タクが既に半ベソになっていた。
「いやいや、ほらこれならいいでしょう」
ちょこんと小さな花束が20束ほど並んでいるのを見つけた。これなら600円。
「パパが半分出すからさ」
とRとタクを説得して買うことにした。いろんな色の花束があったのだけれども、どれにするかは
「コレがいい」
Rが即決して譲らなかった。
「どうしてコレがいいと思ったんだい?」
「コレだったら青い花も赤い花も黄色い花も全部入ってるから」
「信号機みたいだね」
「ぎゃはははは!」
そんな感じで小さな花束も調達。午後になって嫁が帰って来る物音がすると、タクはドキドキしながら花束とコンビニ袋を持って待受け、玄関のドアが開いた瞬間に
「ママー!」
と渡したのであった。
僕はそのやりとりを後ろで見ていたのだが、嫁がママママとチヤホヤされる一方、僕はポツーンと放置プレイで、そのギャップに憐れみを持ったのか、嫁がチロルチョコを一個差し出し、
「みじめそうだからいっこあげよか?」
「いらぬわ」
捨て犬を見るような目をやめろやめろ。
子供達がきちんと母への感謝の気持ちを表わせればそれでいいのさ。
文字通り花を持たせてやったわ。
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05月14日(火)
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