ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■お口チャック。お口マスク。
子供達が登校する朝。
僕も途中まで一緒に行くので共に家を出ると、どこからか子供がギャンギャン泣く声がする。
「誰が泣いてるんだろ」
「メイちゃんじゃない?」
Rが言うとおり、一緒に登校するRの同級生、メイちゃんであった。マスクをしながら火が付いたように泣きながらやって来た。
「どうしたの?」
と聞いても分からない。
「大きいのがいいの!」
としか言わず、困ってしまってわんわんわわん。一緒に行くメイちゃんのお姉ちゃんに聞いてみたところ、
「マスクが小さいのが気に入らない」
のだそうだ。R達も児童用のマスクをしているが、メイちゃんのは児童用より更に小さい幼児用であるらしく、お母さんに「小さくてヤダ」と言っても聞いてくれないらしい。幼児用とはいえR同様ちっちゃい子なので、そんなに小さ過ぎる感はなく、むしろちょうどいいのではと思ったが、
「小さくて耳が痛いのかい?」
ゴムが短くて耳が痛くなるのはイヤだよねー、と、聞いたら別に痛くないらしい。なんだそりゃ。
「それでいいじゃん!」
お姉ちゃんもわりと突き放した感じで言う。マスクひとつでここまでギャン泣きするのも不思議だけれども、子供っていろんなこだわりがあるものである。
とにかく今一番困るのは、メイちゃんが地団駄踏んで泣き喚いているので出発出来ない、このことである。よそさまの子なので深入りするのも躊躇っていたのでどうしたものやら、と思っていたが、
「どうしたの!」
遂にお母さんが家から出て来た。あまりにも泣き声がご近所に轟いていたのでさすがに無視出来なくなったのだろう。要はまだ小さいサイズのマスクが残っているため、
「そのサイズがなくなったら大きいのにしてあげるから」
ということを説得していた。それでも泣き止まないので
「別に使えない訳じゃないのになんでイヤなの!」
だんだん叱り口調になっていったが、ちょうどその時僕のそばで様子を見ていた息子・タク(7才)が僕の袖を引っ張り、
「マイちゃんのママはやさしいね。ボクのママの方が『なにやってんだコラー』ってもっとコワイよ」
とか言うので爆笑してしまった。
そりゃお前、今は僕とか君とかよそさまの目があるからねえ。お家の中に入ったらどうなるか分からないよー、と思わず言いそうになったが、メイちゃんママにギロリと睨まれてしまったので、慌てて口を噤んだのであった。
僕とタクこそマスクが必要だった、というお話でしたとさ。
しかもドレミファドンに出てくる、マスクに赤いバッテンが付いてるやつ…。
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02月24日(日)
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