ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■GAME
日曜の朝、息子・タク(7才)が

「ポケモントレッタ連れてってー」

とおねだりしてきた。ポケモントレッタとは

タク
こんな感じのゲームで1回100円。自分のポケモンと敵ポケモンのバトルゲームである。闘いに勝ってゲットできると、そのポケモンのデータが入った「トレッタ」と呼ばれるチップのようなものが出てくる。そしてそれは次以降のゲームで自分の持ち駒ポケモンとして使うことが出来るのだ。

やりこんだ子だとこの「トレッタ」を山のように持っていて、わりと貧富の差が分りやすく現われるゲームである。当然ウチは貧乏派なのでタクとの約束で1ヶ月500円やってOKということにした。

今月初めに3回だけやって、あとは月末の日曜日に…と決めていたのだが、

「やるのは月末って決めてたじゃん」

と言ったのだが

「げつまつやらないから、いまやりたいの!」

ガマンできなくなったらしい。というのも、「トレッタ」の中身も定期的にリニューアルされちゃうんである。第1弾、第2弾、第3弾…と続いて第4弾が最近リリースされたのでやりたくてしょうがないのである。せっかくコンプリートしたと思ってもすぐ新しいのが出てしまう。しかも、例えば第4弾のゲームで第3弾以前の古い「トレッタ」を使うと

「きみのチームはアウェイだ!」

とかほざかれて弱くなってしまうのである。子供相手にしょっぱい商売。ここでやれダメだ、やれ約束守れ、と断ったところでタクが素直に聞くとは思えず、

「連れてけ」

「やなこった」

の応酬の消耗戦になることは目に見えていたので

「月末本当にやらないことと、あと今残ってる宿題全部やったら連れてく」

と要求したらあっという間に宿題を終わらせてしまった。いつもこうだといいのに…。

で、ゲーム機がある某スーパーのおもちゃ売り場に行ってみたら、常時5人待ちぐらい。やっぱ混んでるよ…。昔、僕がハマッたBEATMANIAというゲームが流行ってた時は10人はザラだったからそれに比べれば…って思っったけど、そう思ってしまう感覚自体がおかしい、と自分でも分かる。

子供達は皆タクぐらいの小一ぐらいの男の子で、そのせいか並んでいる間にすぐ仲良くなって

「ボクの貸してあげようか?」

とか協力し合ったり、

「このタイプに強い相性はね…」

いつの間にかウンチク垂れ合ったりしてるし。みんなよい子供達である。しかし明らかに一番経験が少なそうなタクが

「コレは水タイプに強いよ」

などといっちょ前にアドバイスをしており、実はほとんどが適当じゃないだろうか…とヒヤヒヤしながら後ろから見守っていた。そんな和気藹々とした中に定期的にヌッと現われては画面を覗いてゆく、僕の肩ぐらいの背の大きな男の子がいた。

ハイスコアランキングが流れた時は

「あ、やべー。抜かれそう。オレ、最近やれてねーしなー。やべー」

誰も聞いちゃいないのに地獄のミサワばりにひとりでブツブツ呟いている。なんなんだこの牢名主みたいな、貫禄だけやたらある子供は…と思ったけれどもこの子は要するに、レアなキャラが出てくるのを待っているのである。

このゲームもソーシャルカードゲームなどと同じく、「レア」な「トレッタ」が存在する。このゲームの場合、レアなトレッタそのものがゲーム筐体に入っていないといくらお金をぶっこんでもゲットするのは物理的に無理。

だからこの筐体にレアが入っているかどうか、ずっと観察し続けているのである。ひとたび誰かのゲームの時にレアが出て来たら、それはレアがこのゲーム筐体に入っているということであり、この子はすぐさま並ぶであろう。

タクはレアでもなんでも、「トレッタ」が貰えればよくて、今日は2回やったところで

「じゃあ帰るぞ。いいな」

「うん」

珍しく言うことを聞いて帰ることが出来た。欲しい「トレッタ」がゲット出来たようで、上機嫌であった。

「パパもなんか欲しいポケモンある?」


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02月18日(月)
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