ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■サンタが街にやって来すぎる。
クリスマスイブ。
ケーキを買おうと、地元商店街をうろついていた。娘・R(9才)と息子・タク(7才)も一緒である。子供達に選ばせようと思って連れて来た。
特にこの店じゃなきゃダメとか、そういうこだわりはないので、いろんなところでサンタ服の売り子さんがケーキいかがですかーと呼びかけており迷う。
「ねえパパー、サンタさんって何時頃来るの?11時頃?」
手を繋いで歩きながらRが言う。
「うーん、もうちょっと遅いんじゃない?大人も寝てる2時とか3時とか」
「ふーん」
もし僕らが起きてる時にサンタが来るとしたら
「ども、サンタデース」
「ああどうもご苦労様」
みたいなやりとりが生まれるだろう。佐川急便みたいである。それはちょっとイメージと違うなあ、と思ったわけで。
そんな話をしながら本屋の斜め向かいのイタトマの前を通りかかった。店の前にケーキのショーケースを出し、真面目そうで可愛い女の子がサンタ服を着て一生懸命売り込みをしていて、いかがですか、と声をかけられた。
本当は彼氏とデートしたいのに仕事断れなかったのかなあ…などという勝手なストーリーを思い浮かべ、なんとなくマッチ売りの少女的な儚さを感じてしまった僕は、子供達に有無を言わせずそこで買ってしまった。
子供達を連れて来た意味ないじゃん、というわけではない。商店街の福引をやりに行く目的もあった。毎年やっているのだけれども、いつもRとタクのお目当ては、参加賞のポケモンカレンダーである。ハズレ扱いの賞で、普通にマクドナルドにて350円で売ってるんだけれども、ふたりとも商品券などよりコレが一番欲しがっている。
チャンスはRとタク、それぞれ1回ずつ。券を係のお姉さんに手渡すと
「頑張って当ててねー」
と子供達に声をかけてくれた。
「ボクねえ、参加賞のポケモンカレンダーが欲しいんだ!」
タクが張り切って言うと
「特賞とか1等とかも凄いんだよ。温泉が当たるんだよ」
お姉さんが苦笑い。しかしタクも食い下がらず
「でもボクポケモンカレンダーがいい!」
「うーん、でももうちょっと上も狙ってみようか」
などと進路相談みたいな会話になっていたのが可笑しかった。結果、Rが見事(?)参加賞のポケモンカレンダーをゲット。そしてタクは、
「お、やりましたー。7等、商品券500円です!」
参加賞のいっこ上をゲット。
「すごいじゃん!」
と言ってはみたものの、タク、やはり泣きそうな顔をしている。もらった商品券500円でポケモンカレンダー350円を買えて、更にオツリ150円も貰えちゃうんだけれども、そんなことは彼の頭にはない。しかし
「あらら、じゃあ特別だよ。誰にも言っちゃダメだよ」
お姉さんがササッとタクにもポケモンカレンダーを手に持たせてくれた。タク、現金なものであっというまに笑顔に。うおお、お姉さん素敵すぎ。結婚してくれ!
ケーキとポケモンカレンダーを手にして家に帰る途中、酔っ払った風のお爺さんがすれ違いざま
「今日の子供達はみんなニコニコだな!サンタさんが来てくれるからな!」
ガハハ、と笑っていった。Rとタクもニコニコだったらしい。
「あのおっさん誰?」
とタクが聞くので
「実はあのお爺さんがサンタさんかもしれないよ」
「えええー!」
Rもタクもまだメルヘンを信じるお年頃である。子供の頃もクリスマスは本当にワクワクしたけれども、こうして今サンタになる側になっても楽しいものである。
オリンピックとクリスマスはよく似ている…。
サンタすることに意義がある!なんちて。
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12月25日(火)
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