ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■会話のドッジボール。
息子・タク(7才)が外で暴れたそうだったので公園に連れて行った。

僕自身は、寒かったので正直ウチの中にいたかったのだけれども…。娘・R(9才)の体調がいまひとつ良くなく、横になっていたのだが、タクがいるために眠れなかったのである。

公園に行くと寒いのにわりとたくさんの子供がいた。その中には僕もよく知っているタクやRの同級生も何人かいて、みんな一緒になって遊んでいた。

その子達は、みんなひとりで来ていて、付いてきている親は僕だけなのかなあ…、もう小学生にもなると、ひとりで外に出ていいよ、という方針の家が多いのだろうか、ウチは過保護なのかな、などと若干不安になったりした。

しかし実際のところ、この無駄にチョロチョロしているタクをひとりで遊びに行かせるなんてとてもとても…。そのへんのハトを捕まえていきなり伝書鳩をやらせるようなものである。絶対に言われた通りにせず、言われてもないことをやり、また、まっすぐ帰ってこないであろう。

他の子達はそういうことが出来るようになってるのかなー、とも思っていたらようやくひとり、タクの同級生のパパさんを見つけた。あ、どーも、寒いっすね、などと挨拶。

「タクもみんなと遊ぶかい?」

同級生達は何やらキャアキャアもの凄いはしゃいで盛り上がっていたので、「いーれーて」って行ってこい、と背中を押そうとしたら

「やだ、パパとボールで遊ぶ」

そんなことを言うので、持って来たバレーボールを投げて

「じゃあドッジボールの練習だ!ちゃんと取れ!」

と、ぶん投げてやったところ、結構必死に食らい付いてくるのでしばらくボールの投げ合いをしていた。せっかくなんだからお友達と遊べばいいのになー…と思いつつも

「速く投げて!」

「高く投げて!」

「ワンバウンドで投げて!」

タクは僕とのボールの投げ合いに一生懸命だった。結局ほとんどこれだけをやる続け、気が付けばもう夕方。暮れなずむ街の、光とハゲオヤジ。

「じゃあもう帰んべ」

「えー!やだー!」

「ダメだ!もうすぐ暗くなるぞ!」

先程の同級生パパもおなじようなことを子供とやり合っていて、いやはは、じゃあまた、と苦笑いして家に帰った。寒いし汚れたし、ってことで速攻でふたりでお風呂に入った。

タクのほっぺたが真っ赤になるまで暖まり、湯船から出ると、

「ドッジボール楽しかった」

ポツリと、なんだかしみじみとした口調でタクが言った。そんなに楽しかったのだろうか。

「じゃあまたやるか」

「うん」

思い返すと、出不精で体動かすのが億劫な僕は、あまり子供と一緒に体を動かして遊ぶことはしていないと思う。よくさわやかなパパにありそうな、

「よーしキャッチボールしちゃうぞー」

みたいなことは滅多にやらないし…。そもそも僕が子供の頃そういうのが大嫌いだったのである。僕の父はスポーツオヤジで、

「キャッチボールしようぜ!」

いそのー、野球しようぜ!と誘う中島ばりにしょっちゅう僕を誘う人であった。いつの間にか野球のグローブが買ってあったりして。で、イヤなんだけど断ることも出来ないので

「何が面白いんだろ…」

と、早く終わることだけを願いつつやっていたら

「目が死んでるな。もういい。終わりだ」

などと父親をガッカリさせたものである。そんなイヤなガキだったので、自分が父親になってもそんなことをしようとは思わないわけで…。

ただタクは僕に似ず、そういうのが好きなようなので、本当はもっと僕にしてほしいのだなあ…と遅まきながら気付いて反省した。早速グローブでも買ってやろうかなあ。

昔、マークパンサーっていたよねってそれはGLOBEである。アホだなー、そうだよアホだよ!

軟式GLOBEってのもいたよなあ。

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12月11日(火)
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